母子家庭がお金を借りられる国の制度「母子寡婦福祉資金貸付金」とは?

母子家庭でも借入できる

母子家庭の母親は、就労や子ども就学にお金が必要なとき「母子寡婦福祉資金貸付金」という国の制度を利用することができます。

母子寡婦福祉資金貸付金は厚生労働省が取り扱っており、9割が児童の修学資金に活用されています

母子家庭が利用できる母子寡婦福祉資金貸付金の利用条件がよくわからない…

母子寡婦福祉資金貸付金は、母子家庭なら誰でもお金を借りられる?

このような疑問や不安は母子寡婦福祉資金貸付金でお金を借りたい方には少なくありません。

本記事では母子家庭の方が子どものためにお金を借りることができる、母子寡婦福祉資金貸付金の内容を詳しくご紹介していきます。

また、母子寡婦福祉資金貸付金は母子家庭の方ご自身が困ったときにお金を借りることもできるので併せてご確認ください。

参考元:厚生労働省「母子福祉資金貸付金」

この記事でわかること一覧
  • 母子家庭の方が利用できる母子寡婦福祉資金貸付金の特徴
  • 母子寡婦福祉資金貸付金で融資を受けるための条件
  • 母子寡婦福祉資金貸付金を利用するための流れ
  • 母子寡婦福祉資金貸付金以外にある母子家庭向けの支援制度や融資サービス
  • 即日で借りたい母子家庭の方向けのおすすめ消費者金融カードローン

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マネーグロース – カードローン編集チーム

1級ファイナンシャル・プランニング技能士貸金業務取扱主任者を取得。メガバンクにて勤務後、金融情報について自身の経験や取材・電話調査から情報を執筆するWebライターとして活動中です。

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母子寡婦福祉資金貸付金は母子家庭がお金を借りられる国の制度

母子及び父子福祉資金の制度に関する冊子

母子家庭の方を対象としたお金を借りる方法には、まず、「母子寡婦福祉資金貸付金」が挙げられます。

母子寡婦福祉資金貸付金とは?

母子家庭の方を対象とした公的支援制度の一つです。就職や修学などで必要なお金の融資を受けられます。

母子寡婦福祉資金貸付金の制度内容について理解を深める上で、重要なポイントをまず整理してみましょう。

母子寡婦福祉資金貸付金の重要なポイント一覧
  • 約9割が子どもの修学資金として活用されている
  • 保証人がいる場合は無利子で借りることができる
  • 資金使途は12種類!用途によって限度額が異なる

約9割が子どもの修学資金として活用されている

母子寡婦福祉資金貸付金の用途は主に児童の修学資金です。

詳細は後述していきますが、「技能習得資金」「医療介護資金」「住宅資金」など母子寡婦福祉資金貸付金はさまざまな資金があり、それぞれの目的に応じて利用されています。

高校や大学などの修学資金で借り入れする母子家庭の方は非常に多い傾向です。

貸付実績《平成28年度》
母子福祉資金:172億3,578万円(33,133件)
父子福祉資金:4億8,617万円(1,086件)
寡婦福祉資金:3億7,950万円(570件)
※貸付金の件数・金額とも約9割が、児童の修学資金関係

厚生労働省「☆ひとり親家庭への支援について(平成30年4月)」

シングルマザー・シングルファーザーの家庭では「収入が少ない」などの理由から、子どもの就学資金が工面できず困ることも少なくありません。

シングルマザーやシングルファーザーであっても、母子寡婦福祉資金貸付金の9割が児童の修学資金関係に活用されていることから利用しやすいといえます。

保証人がいる場合は無利子で借りることができる

母子寡婦福祉資金貸付金は借り入れにあたって保証人を用意することで、無利子でお金を借りることができます

ポイント

母子寡婦福祉資金貸付金は、保証人の有無で有利子・無利子が変わる仕組みです。

母子寡婦福祉資金貸付金は保証人がいない場合の利子が年1.0%で、保証人がいる場合は無利子での貸し付けになります。

そもそも母子父子寡婦福祉資金貸付金は、営利目的のサービスと違って公的支援のため金利は低めです。

しかしそのような状況で、さらに保証人を立てることで無利子にできるのは、非常に大きなメリットになるでしょう。

公的支援を利用してお金を借りる場合でも、利子の負担がネックになる…

といったように困っている母子家庭の方でも、母子寡婦福祉資金貸付金は比較的利用しやすいのが特徴です。

なお、保証人が用意できないからといって母子寡婦福祉資金貸付金が利用ができないわけではありません

ポイント

保証人なしで母子寡婦福祉資金貸付金制度を利用する場合は、原則として、年1.0%の利子付きでの借り入れになります。

資金使途は12種類!用途によって限度額が異なる

母子父子寡婦福祉資金貸付金には、合計で12種類の資金使途が用意されています。

資金使途によって貸付条件や対象者は異なるため、自身のお金の悩みに沿った資金で相談することが大事です。

全12種類の資金は、次の表をチェックしてみてください。

資金の種類貸付対象者資金の内容
事業開始資金母子家庭の母
父子家庭の父
母子・父子福祉団体
寡婦
事業を始めるのに必要なものの購入資金
事業継続資金母子家庭の母
父子家庭の父
母子・父子福祉団体
寡婦
現在営んでいる事業を継続するために必要なものを購入する運転資金
修学資金母子家庭の母が扶養する児童
父子家庭の父が扶養する児童
父母のない児童
寡婦が扶養する子
高校・大学などの学校に就学させる学費に充てる資金
技能習得資金母子家庭の母
父子家庭の父
寡婦
事業を始めたり就職したりするのに必要な知識・技能を習得するために使う資金
修業資金母子家庭の母が扶養する児童
父子家庭の父が扶養する児童
父母のない児童
寡婦が扶養する子
事業を始めたり就職したりするのに必要な知識・技能を習得するために使う資金
就職支度資金母子家庭の母又は児童
父子家庭の父又は児童
父母のない児童
寡婦
就職するために必要な被服・通勤用自動車などを購入するための資金
医療介護資金母子家庭の母又は児童(介護の場合は児童を除く)
父子家庭の父又は児童(介護の場合は児童を除く)
寡婦
医療や介護を受けるのに必要な資金
生活資金母子家庭の母
父子家庭の父
寡婦
知識・技能習得中、医療もしくは介護を受けている間、失業中などに生活を安定させるために必要な補給資金
住宅資金母子家庭の母
父子家庭の父
寡婦
住宅の建設・購入・補修・保全・改築・増築に必要な資金
転宅資金母子家庭の母
父子家庭の父
寡婦
住宅を移転するため住宅の貸借にあたって必要な資金
就学支度資金母子家庭の母が扶養する児童
父子家庭の父が扶養する児童
父母のない児童
寡婦が扶養する子
就学・修業するために必要な被服などの購入に必要な資金
結婚資金母子家庭の母
父子家庭の父
寡婦
子どもの婚姻に際して必要な資金

出典元:男女共同参画局「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」

上記のように、母子寡婦福祉資金貸付金はさまざまな用途で利用できます。

こんな目的でお金を借りることはできるのだろうか…

と困ったときでも、資金使途の種類が豊富だからこそ、母子寡婦福祉資金貸付金については相談しやすいのが利点です。

母子家庭の方で「お金がない」と困ったときは、まずは一度、自治体の福祉担当窓口へ母子寡婦福祉資金貸付金について相談してみましょう。

母親の就業や事業に必要なお金を借りることもできる

母子家庭向けのお金の支援と聞くと、生活資金や子どもの学費などをイメージしがちです。

現に、母子寡婦福祉資金貸付金の用途のほとんどは、子どもの修学資金が占めています。

ポイント

しかし、母子寡婦福祉資金貸付金は、就業・事業に必要なお金を借りることも可能です。

資金の種類は事業開始資金、技能習得資金などが当てはまります。

事業開始資金の場合、例として、以下のようなものの購入資金に充てることが可能です。

  • 店や会社に必要な設備
  • 商品を陳列するための什器
  • ものづくりに使う機械

事業を始めたいけれど、お金が足りなくて困っている…

となったときに利用できるため、興味がある母子家庭の方は、積極的に母子寡婦福祉資金貸付金の相談を検討してみましょう。

就職支度資金は通勤用の車購入費へ利用できる

通勤時に利用する車が欲しいけれど、お金がない…

となったときには、母子寡婦福祉資金貸付金における就職支度資金で借り入れができる可能性があります。

就職支度資金なら、就職するにあたって、通勤用自動車の購入費の貸し付けを受けられるのが特徴です。

通勤用自動車の場合、33万円の貸し付けが限度額になります。

主に通勤で使用するマイカーを最大33万円貸し付けてもらった上で購入できるのは、嬉しいメリットです。

母子寡婦福祉資金貸付金は条件を満たさないと母子家庭でも借りられない

母子寡婦福祉資金貸付金は母子家庭の方を対象としていますが、そもそも以下の条件を満たさなければお金を借りることはできません。

母子寡婦福祉資金貸付金が借りられる条件
  • 配偶者がいない(離婚・死別など)
  • ほかの制度で支援を受けていない(併用不可)
  • 生活していける十分な収入がある

母子寡婦福祉資金貸付金で貸し付けを受けるには、上の条件に当てはまることが必須です。

母子寡婦福祉資金貸付金は審査なしでお金を借りることができず、申込条件を満たす必要があります。

したがって、以下のようなケースでは母子寡婦福祉資金貸付金の利用条件には当てはまりません。

  • 離婚するつもりで別居している(まだ離婚成立には至っていない)
  • 内縁の夫がいる

母子寡婦福祉資金貸付金は、母子家庭の方や寡婦の方に向けた支援制度です。

配偶者がいる状態では母子寡婦福祉資金貸付金の主旨とは外れてしまうため、残念ながら、貸し付けを受けることはできなくなります。

ちなみに「寡婦」とは?

以前配偶者のない女性として児童を扶養していた、現在配偶者のいない女性のことを指します。

ただし、例えばDVやモラハラなどが原因で離婚が難しい状況になっている特殊なケースは、上記の限りではないこともあります

その場合は状況に応じて応相談となるため、まずは母子寡婦福祉資金貸付金の申請窓口で相談してみましょう。

続いて、ほか2つの条件について詳細をチェックしていきましょう。

他の制度と併用して借りられない

母子寡婦福祉資金貸付金は、ほかの制度と併用して借りることはできません。

母子家庭で生活が苦しく、生活保護を受給しているけれど、母子寡婦福祉資金貸付金でお金を借りることはできる…?

といった方は、残念ながら母子寡婦福祉資金貸付金で新たにお金を借りることは不可となります。

母子寡婦福祉資金貸付金と併用不可の制度として主に挙げられるのは、主に次の制度です。

生活福祉資金貸付制度にはさまざまな制度があり、代表的なものをピックアップすると、緊急小口資金などがあります。

緊急小口資金とは?

緊急かつ一時的に生計維持が難しくなった場合に、国から少額のお金を借りられる制度のことです。貸付金額は10万円が限度になります。

すでにこれらの支援を受けて生活している母子家庭の方は、その他の条件を満たす方でも母子寡婦福祉資金貸付金の制度利用は不可です。

母子家庭の方は母子寡婦福祉資金貸付金でお金を借りることを検討する場合に、ほかの公的支援制度と併用できないことを注意点としてよく覚えておきましょう。

ポイント

ただし、母子寡婦福祉資金貸付金内で、異なる資金の併用は可能です。

母子寡婦福祉資金貸付金と併用OK・併用NGのパターンを、例としてチェックしておきましょう。

併用OK・母子寡婦福祉資金貸付金の修学資金
・母子寡婦福祉資金貸付金の住宅資金
併用NG・母子寡婦福祉資金貸付金の修学資金
・生活保護

上記の併用OKのパターンでは、つまり学費に充てるための資金を借りつつ、住宅購入費用も借りられるということになります。

母子寡婦福祉資金貸付金を利用する上で借りたい資金が複数ある場合は、積極的に相談することをおすすめします。

生活していける十分な収入がある

母子寡婦福祉資金貸付金は「給付」ではなく「貸し付け」のため、決められた期限内に返済する必要があります。

そのため、「返済が可能な収入=生活していける十分な収入がある」ことは必須条件です。

以下のような点に該当する方は、母子家庭であっても貸付対象外とされる可能性が高いため注意しましょう。

収入の面で貸付対象外とされるケース
  • 生計維持が難しいと客観的に見ても判断できるほど収入が少ない
  • 毎月安定的に収入が入ってくる状態ではない
  • 仕送りや貯金などで生活している

なお、収入は高くなければ母子寡婦福祉資金貸付金の審査に通らないということはありません

一般的に、会社から雇用されている状態で毎月給与などの収入を受け取っていれば、母子寡婦福祉資金貸付金で借り入れはできると考えられます。

そのため母子寡婦福祉資金貸付金では必ずしも正規雇用である必要はなく、アルバイト・パートの母子家庭の方でも申請が可能です。

ポイント

現在子どもを扶養していない方は、203万円6,000円の所得制限があることを覚えておきましょう。

現在子どもを扶養していない状態の方とは、主に次に該当する方です。

  • 今までに母子家庭の母だったことがある方
  • 婚姻経験があり、40歳以上の配偶者のいない女性

前述した「寡婦」に該当する方の条件を詳しくひも解くと、上記の通りになります。

注意点

母子寡婦福祉資金貸付金において寡婦の方は、所得が203万円6,000円を超えている場合は、母子寡婦福祉資金貸付金の貸付対象外となるためご注意ください。

返済が難しいと判断された場合は審査に落ちてしまうこともある

母子寡婦福祉資金貸付金では審査が実施され、審査のなかでは返済能力を判断されます。

主に以下に該当する方は返済能力がなく返済が難しいと判断される可能性が高いため、母子寡婦福祉資金貸付金の審査に落ちる可能性があります。

母子寡婦福祉資金貸付金の審査に落ちるケース一覧
  • 無職で収入がない
  • 保険料や税金を滞納している
  • すでに金融機関から借り入れをしている

無職で収入がない

母子寡婦福祉資金貸付金は期限内に返済する必要があるため、収入のない方は返済が難しいと判断され審査通過は厳しくなります。

例えば母子寡婦福祉資金貸付金の修学資金の据置期間と償還期間は、次の通りです。

  • 据置期間:当該学校卒業後 6か月
  • 償還期間:20年以内

母子寡婦福祉資金貸付金における据置期間とは、お金を借りてから返済が始まるまで、返済を据え置く期間を指します。

したがって修学資金の場合、子どもの卒業6か月後から、20年以内に借りたお金を完済する必要があるということです。

無職だったり収入が著しく低かったりすれば、返済するための資金源がないため、返済が滞るリスクがあります。

そのようなリスクのある方には、残念ながら、母子寡婦福祉資金貸付金の貸し付けは行われません。

とはいえ、上記で触れたように、高収入でなければ母子寡婦福祉資金貸付金の審査には通らないというわけではないのも事実です。

ポイント

低い収入でもある程度安定的に収入が入ってくる状態であれば、母子寡婦福祉資金貸付金での借り入れは可能になります。

母子家庭で無職の方がお金を借りるには、まず収入がある状態になってから、母子寡婦福祉資金貸付金に申し込むようにしましょう。

保険料や税金を滞納している

母子寡婦福祉資金貸付金の審査に落ちるケースの一つには、保険料や税金を滞納しているケースも挙げられます。

保険料・税金を滞納している母子家庭の方は、母子寡婦福祉資金貸付金で借り入れしても、返済が難しいと判断されやすいからです。

現状働いていても税金を滞納している状態では、母子寡婦福祉資金貸付金でお金を借りても、状況は改善しないと判断されてしまうでしょう。

ポイント

母子寡婦福祉資金貸付金に申し込むなら、少なくとも申し込みまでに滞納は解消しておく必要があります。

ただし、保険料・税金を滞納している母子家庭の方は、必ず審査に通らないといえるわけではありません

例えば次のようなケースであれば、相談次第で審査に通る可能性もあります。

  • 滞納分の分納について役所と相談済みである
  • 滞納分の支払いを徐々に開始している

上のような状態であれば、支払いの意思はあると判断してもらえる可能性があります。

母子寡婦福祉資金貸付金の審査に通る可能性もあるでしょう。

すでに金融機関から借り入れをしている

母子寡婦福祉資金貸付金はすでに金融機関から借り入れをしている母子家庭の方でも申し込めます。

しかし、すでに借り入れがある方で以下に該当する場合は、母子寡婦福祉資金貸付金の審査には落ちる可能性があるため要注意です。

  • 借入額が多い
  • 借入件数が多い
  • 借入分の返済が滞っている

カードローンや消費者金融から多くの金額を借り入れしていたり、返済が遅れていたりすると、返済能力があると判断されにくくなります。

そのため多くのお金をすでに借りている状態の方は、母子寡婦福祉資金貸付金の審査には通りにくくなる可能性があるため気をつけましょう。

しかし、借り入れが少しでもあるだけで、母子寡婦福祉資金貸付金の審査NGになるというわけではありません。

家計や収入の状況次第で、返済能力があると判断されれば、すでに借り入れがある状態でも母子寡婦福祉資金貸付金の審査に通る可能性はあります。

ポイント

ただし、母子寡婦福祉資金貸付金の申請にあたって、金融機関からの借り入れの事実を隠すことは避けましょう。

カードローンの借り入れがあるとバレたら、審査で不利になりそう…

となって、借り入れしていないと伝えた場合、その後発覚した際にはほぼ100%審査には落ちるといえます。

すでに貸し付けを受けている場合、悪質なケースでは、即時返済を求められることも考えられるはずです。

母子寡婦福祉資金貸付金の審査は時間をかけてじっくりと行われるため、嘘の情報はバレやすいため注意しましょう。

連帯保証人がいると審査で有利に働く

母子寡婦福祉資金貸付金は、保証人あり・なしどちらでも申し込むことができます。

保証人あり無利子
保証人なし有利子(年1.0%)

母子寡婦福祉資金貸付金で保証人を立てることができれば、万が一返済が滞ったとしても、国は保証人へ返済を求めることが可能になります。

そのためリスク回避につながりやすく、母子寡婦福祉資金貸付金の審査では、保証人ありのほうが有利といえるでしょう

ポイント

保証人ありなら、母子寡婦福祉資金貸付金は無利子で借りられるという大きなメリットにもつながります。

保証人がいることによるメリットはたくさんあります。

母子寡婦福祉資金貸付金の申し込みでは審査通過のためにも、利子分の負担を減らすためにも、保証人はできる限り用意したいところです。

母子寡婦福祉資金貸付金でお金を借りるには市役所から申請

借り入れしたお金

母子寡婦福祉資金貸付金でお金を借りるときは、所属する自治体の役所から申請を行います。

申請先は福祉担当窓口になりますが、自治体によって名前が違う場合もあるため詳細は役所に確認を取りましょう。

市役所から必要書類をそろえて申請を行い、貸付金が振り込まれるまでの流れは、以下の通りです。

相談

母子寡婦福祉資金貸付金を借りる場合は、事前に相談が必要です。どのような資金が必要なのか、世帯の収支状況などを聞かれます。

申請

相談の結果、適切な申請と判断された場合は、申請書と添付書類を一緒に提出しましょう。

審査

審査は相談窓口にて実施されます。審査では返済能力や保証人が必要かなどの貸付条件、貸し付けが自立につながるかどうかを確認されます。審査結果によっては、貸し付けができない場合もあります。

貸付決定

審査の結果、貸し付けが決まると償還(返済)方法を決める借用書を作成する必要があります。貸付内容によっては借用書の書き方が異なるので窓口で相談しましょう。

資金交付

交付請求書を提出することで、母子寡婦福祉資金貸付金が交付されます。交付後に減額申請や増額申請を行う場合は、できるだけ早く申し出する必要があります。

償還(返済)

返済は借用書に記した内容に沿って行われます。返済を滞納した場合は督促状の発送や催告が行われます。また、貸付条件を決める際に設定した連帯保証人や連帯借受人に請求が行われるので注意しましょう。

償還完了

完済すると借用書が返却されます。

※参考元:東京都福祉保健局「母子福祉資金・父子福祉資金パンプレット(令和4年度版)」

母子寡婦福祉資金貸付金の審査の前には相談員との面談が必要になるため、申し込みの行程で済ませることは多いです。

それでは、母子寡婦福祉資金貸付金の申し込みから貸付金の受け取りの流れにおける、重要なポイントを整理していきましょう。

融資まで最短1~3カ月と比較的に時間がかかる

母子寡婦福祉資金貸付金は申し込みから最終的な貸付金の振り込みまで、通常1~3か月かかります

そのため、すぐに審査通過からすぐに振り込みとはならず、お金を借りるまでにはある程度長く待つ必要があります

ポイント

早めに寡婦福祉資金貸付金でお金を借りたい方は、申し込みを後回しにせず、できる限り早く手続きを済ませることが大事です。

母子寡婦福祉資金貸付金はあくまで公的支援の一つで、決して営利目的で運用されているものではありません。

今すぐお金が必要な方は消費者金融カードローンなど融資速度が早いサービスからのキャッシングがおすすめです。

必要な書類と申請書を市役所に提出する

母子寡婦福祉資金貸付金に申し込むときは、必要書類を揃えて市役所に提出します。

必要書類詳細入手場所・方法
申請書母子寡婦福祉資金貸付金の申込書類役所
母子家庭であることの証明書類戸籍謄本
遺族年金証書
児童扶養手当証書
上記いずれか
役所
申請者本人・保証人の住民票発行後3か月以内のもの役所など
申請者本人・保証人の収入証明書市県民税所得証明書
源泉徴収票
確定申告書
上記いずれか
役所
税務署など
マイナンバーを確認できる書類マイナンバーカード
通知カード
住民票
上記いずれか
役所など
本人確認書類運転免許証
パスポート
マイナンバーカードなど
※顔写真のあるもの
印鑑登録証明書請求日から3か月以内のもの役所など

母子寡婦福祉資金貸付金の申し込みには、非常に多くの書類が必要です。

ポイント

すぐに用意できない書類も多いため、申し込みに手間取らないためには、余裕をもって書類をそろえておくようにしましょう。

また、上記は共通で必要になる書類のため、資金の種類ごとに追加で書類が必要になる場合があります。

資金ごとに異なる必要書類の一部を紹介すると、以下の通りです。

資金の種類必要書類
修学資金学校発行の資料・パンフレット・領収書など
就職支度資金就職先を証明できる書類など
生活資金生活維持に必要な額がわかる書類

資金ごとに状況を詳しく証明するための書類が必要になるため、事前にしっかりと準備しておきましょう。

注意点

書類不備があると長くかかる申し込みが一からやり直しになったり、最悪の場合は審査落ちにつながったりすることがあります。

母子寡婦福祉資金貸付金の申し込み・申請で必要書類は、最後までしっかりと確認するようにしましょう。

審査前には相談員との面談が実施される

母子寡婦福祉資金貸付金の必要書類をすべて提出したあとは、審査が始まる前に、担当の相談員との面談が行われます。

ポイント

審査の前に面談が行われる目的は、返済の意思や家計の状況などを確認し、貸し付けにふさわしい人か判断するためです。

お住まいの市福祉事務所、町役場福祉担当又は県健康福祉事務所に相談

母子・父子自立支援員等による面談(家庭の状況や経済的な状況等、実生活に関わる聞き取りをさせて頂きます。)

面談の結果、審査を経て貸付申請を行います。

兵庫県庁「母子父子寡婦福祉資金貸付金」

母子寡婦福祉資金貸付金の面談は貸し付けを受ける本人だけでなく、連帯保証人も受ける必要があります。

子どもが連帯借受人になる場合は、子どもも一緒に面談を受ける決まりです(地域によって詳しい決まりは異なる場合があります)。

返済期間は計画的な返済プランを設計できる

母子寡婦福祉資金貸付金の返済期間は最長で20年のため、比較的余裕をもって返済していくことができます。

ポイント

母子寡婦福祉資金貸付金は返済期間が長いからこそ、少ない額からコツコツ返済していけるのが利点です。

資金ごとの据置期間と償還期間(返済期間)は、次の表を参考にしてください。

資金の種類据置期間償還期間
事業開始資金1年7年以内
事業継続資金6か月7年以内
修学資金当該学校卒業後6か月20年以内
技能習得資金知識技能習得後1年20年以内
修業資金知識技能習得後1年20年以内
就職支度資金1年6年以内
医療介護資金医療または介護修了後6か月5年以内
生活資金知識技能習得後、医療もしくは介護終了後または生活安定期間の貸付もしくは失業中の貸付期間満了後6か月5年以内~20年以内
住宅資金6か月6年以内
転宅資金6か月3年以内
就学支度資金当該学校卒業後6か月20年以内
結婚資金6か月5年以内

出典元:男女共同参画局「母子父子寡婦福祉資金貸付金制度」

例えば技能習得資金の場合、知識技能習得後1年が据置期間となり、その後は20年以内に完済を目指します。

そのため運転免許取得の目的で46万円を借りた場合は、20年で完済なら、単純計算でひと月あたりの返済額は2,000円以下です(無利子の場合)。

さらに母子寡婦福祉資金貸付金の返済開始までには1年の据置期間があるため、滞納のないように返済に備えられます。

なお、母子寡婦福祉資金貸付金の返済方法は、以下のパターンのなかから選択可能です。

選べる返済方法
  • 月賦(月1回返済)
  • 半年賦(半年に1回返済)
  • 年賦(年1回返済)

母子寡婦福祉資金貸付金の返済方法でより多くの方に選ばれている方法は、月賦(月1回返済)です。

月賦の場合は毎月一定額を返済する方法になるため、管理がしやすく、毎回の返済額も少ないためおすすめになります。

支払いを滞納すると違約金が発生する

母子寡婦福祉資金貸付金の返済をするにあたって注意したいことは、返済滞納による違約金です。

ポイント

返済遅延が起きた場合、母子寡婦福祉資金貸付金では、元金に対して年3%の割合で違約金が加算されます。

例えば30万円を母子寡婦福祉資金貸付金で借りた方が1年間返済を滞納したときは、9,000円の違約金がかかります。

そのため母子寡婦福祉資金貸付金でお金を借りる際には、滞納の状況に陥らないよう、しっかりと返済計画を立てることが重要になります。

また、返済が遅れそうな場合、何の連絡もなく返済を無視することはやめましょう。

突然失業してしまい、母子家庭なのでどうしても返済が厳しい…

などと困った際には、まず母子寡婦福祉資金貸付金の担当相談員に連絡し、その後の返済について相談に乗ってもらうことが大切です。

母子家庭の方がお金を借りることができる方法

母子家庭の方がお金を借りる方法には、母子寡婦福祉資金貸付金以外では、例えば以下のような方法があります。

制度・サービス内容・特徴
ひとり親世帯臨時特別給付金児童扶養手当受給のひとり親世帯が、一定額を受け取れる
児童扶養手当母子家庭・父子家庭が子どもの数に応じて一定額を毎月受け取れる
自立支援教育訓練給付金児童扶養手当を受け取っている母子家庭・父子家庭が、就職にあたって必要な教育訓練のために必要な額を受け取れる
各種ローン返済能力があれば銀行や貸金業者から融資を受けられる
なかでもカードローンは用途自由で利用しやすい

母子家庭の方向けの支援制度は、母子寡婦福祉資金貸付金だけではありません。

公的支援を頼りたいときは、母子寡婦福祉資金貸付金以外なら、上記のような給付金制度もチェックしておきましょう。

また、お金を借りる方法といえば、消費者金融や銀行が提供しているカードローンもおすすめです。

以下のように、カードローンのなかでも消費者金融カードローンであれば、最短で即日融資を受けられます。

会社名融資速度金利(実質年率)無利息期間職場への電話連絡担保・保証人
アイフルのロゴ
アイフル
最短18分※年3.0%~年18.0%30日間なし不要
プロミスのロゴ
プロミス
最短3分年4.5%~年17.8%30日間なし不要
アコムのロゴ
アコム
最短20分※年3.0%~年18.0%30日間原則なし不要

消費者金融カードローンには、主に次のようなメリットがあります。

消費者金融カードローンのメリット
  • 最短20分ほどで融資を受けられる
  • 申込方法が簡単でWeb完結も可能
  • 周囲へ秘密にした上で借りられる場合も多い

まとめ

母子家庭の方がお金を借りるときは、まず、母子寡婦福祉資金貸付金の利用を検討してみましょう。

母子寡婦福祉資金貸付金は、母子家庭の方や寡婦の方が利用できる公的支援です。

さまざまな用途でお金を借りることができ、どうしてもお金を工面する必要がある…というときに役立ちます。

ポイント

国の支援制度だからこそ、安心して利用できるのも大きな利点です。

しかし母子寡婦福祉資金貸付金の申し込み手続きは比較的複雑で時間もかかるため、どのような制度なのか、事前に理解を深めることが重要になります。

あわせてカードローンのメリットなどもチェックしたうえで、自分に合ったお金を借りる方法を見極めていきましょう。

母子家庭の方がお金を借りることについてまとめると
  • 母子家庭の方がお金を借りるときはまず母子寡婦福祉資金貸付金を検討しよう
  • 母子寡婦福祉資金貸付金の利用条件を押さえて申し込もう
  • 母子寡婦福祉資金貸付金は役所から申請し、審査に通れば1~3か月で振り込まれる
  • 母子家庭の方でも借りられる・給付を受けられる支援制度・サービスはたくさんある
  • 即日融資を希望する方は消費者金融カードローンも検討しよう
この記事の監修者

宮野茉莉子

1984年生まれ。東京女子大学卒業後、野村證券に入社。ファイナンシャルプランナーとして活躍。2011年よりフリーランスでライターとして活動し、マネー分野の記事を執筆している。
得意分野:金融商品、投資
資格:2級FP技能士証券外務員一種中学高校社会科教員免許