国からお金を借りる方法|貸付条件から審査のポイントも解説

国からお金を借りる方法

生活や事業を立て直したいのに銀行での融資を断られてしまった方は、国の公的融資制度の利用がおすすめです。

国の公的融資制度とは国が生活困窮者を救う目的で行っている貸付制度で、無利子または低金利でお金を借りられます。

今回は個人向け・事業者向けの公的融資制度を合計16件紹介するので、自身が求めている支援を探してみてください。

個人向け公的融資制度

  • 緊急小口資金
  • 総合支援資金
  • 教育支援資金
  • 不動産担保型生活資金
  • 福祉費
  • 求職者支援資金融資
  • 母子父子寡婦福祉資金貸付金
  • 教育一般貸付
  • 看護師等修学資金
  • 生活困窮者自立支援
  • 生活保護

事業者向け公的融資制度

  • 日本政策金融公庫の一般貸付
  • 新創業融資制度
  • マル経融資
  • 小規模企業共済の貸付制度
  • 未払賃金立替払制度

特に、個人向けの公的融資制度は、銀行で融資を受けられない低所得世帯や高齢者世帯が主な貸付対象者です。

融資以外にも、自立に向けた訓練・家計管理などの支援が受けられるので、困窮から抜け出す足がかりが欲しい方は公的融資制度に申し込みましょう。

この記事を読んでわかること
  • 個人向け・事業者向けそれぞれの公的融資制度の内容
  • 公的融資制度の審査に通過するためのポイント
  • 自分に必要な支援がわからないときの対処方法

目次 閉じる


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マネーグロース – カードローン編集チーム

1級ファイナンシャル・プランニング技能士貸金業務取扱主任者を取得。メガバンクにて勤務後、金融情報について自身の経験や取材・電話調査から情報を執筆するWebライターとして活動中です。

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国からお金を借りる方法一覧

お金がない状態で生活が成り立たない方は、国の公的融資制度を利用して生活の立て直しを図りましょう。

公的融資制度とは生活困窮者の生活支援を目的とした制度で、低所得の世帯や働けない方も審査に申し込めます。

個人向け公的融資制度の主な貸付対象
  • 市町村民税非課税程度の低所得世帯
  • 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳を交付された方がいる世帯
  • 65歳以上の高齢者がいる世帯

制度によって細かい条件等は異なりますが、基本的には上記にあてはまる世帯が対象です。

公的融資は無利子または超低金利かつ、返済期間も長く設けられています。

生活の立て直しをしたい方は、積極的に活用しましょう。

また、一部の銀行や消費者金融は無利息期間があるカードローンを提供しているため、短期的な返済する際には優れています。

以下の表では、どのような個人向けの公的融資制度があるのか一例をまとめたので参考にしてください。

目的目的に該当する国の融資制度
今すぐお金が必要緊急小口資金
無職でお金を借りたい総合支援資金
100万円を国から借りたい福祉費
国から無利子でお金を借りたい・生活支援費(保証人ありの場合)
・住宅入居費(保証人ありの場合)
・一時生活再建費(保証人ありの場合)
・福祉費(保証人ありの場合)
・教育支援費用
・就学支度費
・緊急小口資金 など
学生が国から学費を借りたい教育一般貸付(国の教育ローン)
生活を立て直したいが、すべきことがわからない生活困窮者自立支援制度
生活費が捻出できないが家は売りたくない不動産担保型生活資金

それぞれの国の融資制度についてわかりやすくご紹介していきます。

緊急小口資金は一時的に生活が苦しい世帯へ最大10万円を融資

「緊急小口資金」は上限10万円の範囲内で、緊急かつ一時的な生計維持のための資金を融資する制度です。

融資額は少額ではあるものの、無利子かつ連帯保証人なしで借りられるので返済負担を抑えつつ生活を立て直せます。

他の公的融資制度と比較して融資スピードが早く、最短1週間程度での融資が可能なのも特徴です。

審査のポイント
  • 継続的な生活困難ではなく、緊急かつ一時的なものであること
  • 将来的に返済の見通しが立つこと

転職して収入が落ちた・失業した等の理由で生活が苦しい方は、次で紹介する「総合支援金」を検討してください。

緊急小口資金は「都道府県社会福祉協議会」が主体で行っている貸付制度です。

ただし、就職の内定が決まっている場合を除き、まずは「自立相談支援機関」に相談しましょう。

自立相談支援機関で相談を行い、緊急小口資金の利用が可能と判断された場合のみ緊急小口資金へ申し込めます。

いきなり都道府県社会福祉協議会に申請しても取り合ってもらえないので注意してください。

融資額最大10万円
融資スピード最短5日(営業日)
据置期間貸付けの日から2ヶ月以内
返済期限据置期間経過後12ヶ月以内
利子無利子
保証人不要
必要書類・借入申込書
・顔写真付きの本人確認書類
・住民票の写し
・健康保険証
・借用書
・借入申込者の世帯の収入証明
・申し込み者の実印と印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
・預金口座振替依頼書
・借入理由による確認書類 など
相談窓口自立相談支援機関

緊急小口資金の融資速度は最短5日となっていますが、今すぐお金が必要な方は最短即日に融資をしてくれるカードローンも便利に利用できます。

「据置期間」とは利息のみを支払えばいい期間のことで、期間中は元金返済が猶予されます。

総合支援資金は生活再建のための継続的な支援や債務整理のための借り入れが可能

総合支援資金は当面の生活費やアパート契約に必要な敷金・礼金、公共料金の支払いなど幅広い目的に対応した貸付制度です。

制度を利用するには原則、連帯保証人が必要ですが、保証人なしでも1.5%の低金利でお金を借りられます

保証人がいれば無利子で借り入れができるので、頼れそうな親族がいる場合はお金を借りる理由を説明してお願いしてみましょう。

総合支援資金は資金の利用目的ごとに全3種類にわけられており、必要に応じた制度を利用できます。

利用目的貸付上限
生活支援費生活再建までに必要な生活費の工面・二人以上:月20万円以内
・単身:月15万円以内
住宅入居費住宅の契約に必要な資金40万円以内
一時再生再建費・生活再建のために一時的に必要なもので、日常の生活費で賄うのが難しい費用
・就職・転職を前提とした技能習得の必要経費
・滞納している公共料金等の立替費用
・債務整理をするための必要経費 など
60万円以内

上記3つの制度のいずれかに申し込みを検討中かつ就職が決まっていない方は、まず自立相談支援事業に相談しましょう。

就職が内定している方は、市区町村社会福祉協議会が窓口になります。

総合支援資金の申し込みに必要な書類は、主に以下の通りです。

総合支援資金の必要書類
  • 総合支援資金の「借入申込書」
  • 健康保険証と住民票の写し
  • 世帯状況がわかる書類
  • 連帯保証人の収入がわかる書類
  • 就職活動など、自立に向けた計画書
  • 他に利用している制度がある場合は、その内容がわかる書類
  • 借入申込者の個人情報を必要の範囲内で関係機関に公開する同意書

ただし、社会福祉協議会によって異なる可能性もあるため、あらかじめ確認しましょう。

以下では各制度ごとの詳しい内容を解説するので、参考にしてください。

生活支援費

生活支援費は生活再建に必要な生活費を月額払いで借りられる制度です。

貸付上限は世帯人数によって異なり、単身は月額15万円以内、二人以上は月額20万円以内の範囲で借り入れできます。

借り入れ可能な期間は、原則3ヶ月以内です。

ただし、世帯状況に応じて、最大12ヶ月以内まで延長できます。

失業やケガなどで当面の生活費を工面できない場合におすすめです。

貸付限度額・単身者:月額15万円以内
・二人以上:月額20万円以内
利子無利子(保証人なしの場合、1.5%)
借入可能期間原則3ヶ月以内(最長12ヶ月以内)
据置期間最終貸付日から6ヶ月以内
返済期限据置期間経過後10年以内
連帯保証人原則必要
※いなくても利用可能

住宅入居費

住宅入居費は賃貸契約の際に必要な諸費用に使える貸付制度です。

貸付限度額は40万円以内で、保証人を立てた場合は無利子で借り入れできます。

住宅入居費の対象になる費用の例
  • 敷金、礼金等
  • 入居時に支払う共益費や管理費
  • 仲介手数料
  • 火災保険料
  • 運送費 など

住宅入居費を使えば、初期費用の大部分を工面することができます。

家賃の安い部屋に引っ越したいけど、まとまったお金を用意できない方はぜひ検討してみてください。

また、住居費の利用を申し込む場合、本人確認書類や借用書等と併せて以下の書類提出も求められます。

住居費の申請に必要な書類
  • 入居する住宅の「不動産賃貸契約書」の写し
  • 「入居予定住宅に関する状況通知書」の写し(不動産が発行)
  • 「住宅支援給付支給対象者証明書」の写し(自治体が発行)

不動産や自治体など、発行元の違う書類が必要になるので早めに集めておきましょう。

貸付限度額40万円以内
利子無利子(保証人なしの場合、1.5%)
据置期間貸し付けの日から6ヶ月以内
※生活支援費と併用の場合は、生活支援費の最終貸付日から6ヶ月以内
返済期限据置期間経過後10年以内
連帯保証人原則必要
※いなくても利用可能

一時再生再建費

一時再生再建費は滞納している家賃の立替費用、技能習得費用などの生活再建に必要な資金を借りられる制度です。

貸付限度額は最大60万円で、保証人がいる場合は無利子で貸し付けを受けられます。

債務整理の費用としても使えるため、消費者金融などの返済で苦しい方は低金利な一時再生再建費の利用を検討してみてください。

貸付限度額60万円以内
利子無利子(保証人なしの場合、1.5%)
据置期間貸し付けの日から6ヶ月以内
※生活支援費と併用の場合は、生活支援費の最終貸付日から6ヶ月以内
返済期限据置期間経過後10年以内
連帯保証人原則必要
※いなくても利用可能

職業訓練中で一時再生再建費の利用を検討している方は、求職者支援資金融資の制度を利用できる可能性があるので確認してみましょう。

教育支援費は進学・就学に必要な経費を無利子で借りられる

教育支援費には「教育支援費」「就学支度費」の2つが用意されています。

どちらの融資も低所得世帯に属する子供の教育支援が目的で、入学金や就学費用としての利用が可能です。

申し込みは入学・就学する本人が行う必要がありますが、原則として無利子で借りられます。

返済も卒業後でいいため、しっかりと学業に集中できるのがメリットです。

「教育支援費」と「就学支度費」の違いは、以下の表を参考にしてください。

教育支援費就学支度費
目的高等学校、大学又は高等専門学校に就学するための必要経費高等学校、大学又は高等専門学校に入学するための必要経費
貸付限度額・高校:月3.5万円以内
・高専:月6万円以内
・短大:月6万円以内
・大学:月6.5万円以内
※必要と判断された場合のみ、各上限額の1.5倍まで貸付可能
50万円以内
据置期間卒業後6ヶ月以内卒業後6ヶ月以内
返済期限据置期間経過後20年以内据置期間経過後20年以内
貸付利子無利子無利子
保証人×
※ただし、世帯内で連帯借受人が必要
×
※ただし、世帯内で連帯借受人が必要

「就学支度費」と「教育支援費」の大きな違いは入学時のみの支援か、毎月の継続的な支援かです。

据置期間や利子、保証人に関する条件等は同じなので、継続的な支援が必要か否かに応じてどちらを利用するか検討しましょう。

必要な場合は併用も可能なので、最寄りの市区町村の社会福祉協議会に相談してみてください。

ただし、育英資金や母子家庭でお金を借りる母子父子寡婦福祉資金貸付などの優先度が高い公的制度の対象者は、「就学支度費」や「教育支援費」が利用できない可能性も高いです。

各制度の詳しい内容については、以下で順に解説します。

教育支援費

「教育支援費」は毎月、継続的に学費の支援を受けられる貸付制度です。

利用範囲として認められるのは原則、授業料・施設設備費用・実習費・同窓会費・教科書代などと定められています。

状況に応じて制服代や修学旅行費、PTA会費、定期代などへの利用も可能なので、必要な方は相談してみましょう。

貸付対象
  • 貸付対象となるのは低所得世帯に属する子供
  • 中学から高校、高校から大学などの上級学校に進学・就学する場合
  • 生計の維持ができていて、返還の見通しが立つ世帯

留年や転校などは「教育支援費」の貸付対象外です。

また、2つの学校に同時入学するダブルスクールが貸付対象になるかは、区市町村社会福祉協議会によって異なります。

該当する場合は、最寄りの区市町村社会福祉協議会に問い合わせをしてください。

「教育支援費」で貸付可能な金額は、就学する学校によって異なります。

通常の貸付上限特に必要な場合(1.5倍)
高校月35,000円以内52,500円以内
高専月60,000円以内90,000円以内
短大月60,000円以内90,000円以内
大学月65,000円以内97,500円以内

原則として、貸付月額は学費に応じて「通常の貸付上限」に沿った内容で決定されます。

ただし、以下の条件に当てはまる方は、例外的に通常の貸付上限から1.5倍までの金額が適用可能です。

1.5倍の貸し付けが認められる条件
  • 通常の貸付上限額では学費が不足する場合
  • 借入申込者が就学に際しての熱意や将来への計画性を持っている

一度決定した貸付月額は、対象期間中ずっと変わりません。

対象となるのは未払いの就学金のみで、すでに払い終わった就学金に対しての貸し付けは不可です。

また、原則として、「教育支援費」の契約者(借受人)は就業者本人になります。

連帯保証人は必要ありませんが、世帯の生計中心者は連帯借受人として面接が必要です。

生計中心者が連帯借受人として認められない場合は、連帯保証人を立てることが求められます。

連帯保証人の条件
  • 65歳未満
  • 低所得世帯の収入基準以上の収入がある
  • 契約者と別世帯

申請時期は学校や市区町村によっても異なるので、検討中の方は早めに最寄りの区市町村社会福祉協議会へ問い合わせましょう。

申請時期随時受付
融資までの期間申し込みから約1ヶ月程度
相談窓口最寄りの区市町村社会福祉協議会
申請書類・借入申込書
・世帯員全員分の住民票の写し(発行後3ヶ月以内)
・世帯の所得がわかる書類
・学校に関する書類(募集要項や合格通知等)
・その他状況に応じて必要な書類

就学支度費

「就学支度費」は入学の際に必要な資金を上限50万円以内の範囲で融資してくれる制度です。

融資対象者
  • 入学を控えた低所得世帯の子供
  • 返済の見通しがつく

借入金は制服や靴などの購入費・教科書代・入学費などに使えます。

ただし、貸し付けは未払い料金のみが対象なので、先に払い込んでしまわないように注意してください。

貸し付けは入学時の一回のみで、「教育支援費」のように継続的な借り入れはできません。

また、原則として、貸し付けを受ける 借受人(申し込み者)は進学する本人である必要があります。

「就学支度費」を利用したい場合の相談窓口は、市区町村の社会福祉協議会または民生委員です。

申し込みから融資実行までは約1ヶ月程度かかるので、早めに行動しましょう。

申請時期随時受付
融資までの期間申し込みから約1ヶ月程度
相談窓口最寄りの区市町村社会福祉協議会
申請書類・借入申込書
・世帯員全員分の住民票謄本(発行後3ヶ月以内)
・世帯の所得がわかる書類
・合格通知書
・入学案内等の、必要経費がわかる書類
・その他状況に応じて必要な書類

必要書類や細かい融資条件などは、市区町村によって異なる場合があります。

利用を検討しはじめた段階で、一度問い合わせておくと安心です。

不動産担保型生活資金は家を手放さなくても生活費を借りられる高齢者向けの貸付制度

不動産担保型生活資金は、マイホームを所有・居住している高齢者向けの貸付制度です。

利用者は自宅を担保に生活資金を借りることができ、死亡後は自宅を売却したお金が返済に当てられます

お金がなくても自宅を手放さなくていいので、住み慣れた家から離れたくない高齢者がお金を借りる際におすすめです。

具体的な貸付条件は、以下を参考にしてください。

貸し付けの対象者
  • 評価額500万円以上のマイホームを単独で所有(同居の配偶者との共有は可)
  • 担保となる不動産に居住している
  • 最期まで住居を所有または住み続けることを希望している
  • 不動産に賃借権や抵当権等が設定されていない
  • 不動産の所有者が原則65歳以上
  • 制度を利用しなければ生活保護を受けなければならない世帯だと認められた場合

また、不動産担保型生活資金には2種類あり、利用者の生活状況によって利用できる資金が異なります。

それぞれの違いを以下の表にまとめているので、参考にしてください。

不動産担保型生活資金要保護世帯向け不動産担保型生活資金
対象者低所得の高齢者世帯生活保護が必要と認められた高齢者世帯
融資限度額住居用不動産(土地)の評価額の70%程度居住用不動産の評価額の70%(集合住宅は50%)
貸付月額月額30万円以内(3ヶ月ごとに貸し付け)生活扶助額の1.5倍以内
融資期間借受人が死亡または貸付元利金が貸付限度額に達するまで借受人が死亡または貸付元利金が貸付限度額に達するまで
据置期間契約終了後3ヶ月以内契約終了後3ヶ月以内
償還期限据置期間終了時据置期間終了時
金利年3%、または銀行の長期プライムレートのいずれか低い利率年3%、または銀行の長期プライムレートのいずれか低い利率
申込窓口市町村社会福祉協議会保護の実施機関

要保護世帯向け不動産担保型生活資金の相談窓口である保護の実施機関とは、生活保護の需給を判断する機関です。

一般的には、居住区を管轄している自治体の福祉課(福祉事務所)などが相談窓口になっています。

基本的にどちらの制度も申し込みから貸付までには数ヶ月かかるため、早めに相談しておくのがおすすめです。

ただし、要保護世帯に関しては、急迫状況にあると判断された場合、一時的に生活保護を受けられる可能性もあります。

家計が苦しい場合は、無理してどうにかしようとせず助けを求めましょう。

また、不動産担保型生活資金を利用した場合、死亡時に自宅は売却されます

法定相続人がいる場合は、思わぬトラブルを防ぐためにも事前に同意を取っておくと安心です。

ゆうちょ銀行を利用している方は、定期預金を担保にゆうちょからお金を借りることもできます。

福祉費は目的に応じてまとまったお金を借りられる

福祉費は事業資金や技能習得費用、介護・障害者サービス費用など幅広い目的に活用できる貸付制度です。

目的によって条件や限度額等は異なりますが、最大で580万円までの融資を受けられます

各目的ごとの融資目安は、以下の表を参考にしてください。

目的貸付上限の目安
生業を営むための必要経費
※法人・共同事業を除く
460万円
技能習得費用・習得期間中の生計維持費580万円
住宅の増改築や補修等250万円
福祉用具等の購入170万円
障害者用自動車の購入250万円
中国残留邦人等にかかる国民年金保険料の追納に必要な経費513.6万円
負傷又は疾病の療養費、療養中の生計維持費用230万円
介護・障害者サービス費用や期間中の生計維持230万円
被災時の臨時費用150万円
冠婚葬祭費50万円
住居の移転等、給排水設備等の設置費用50万円
就職、技能習得等の支度金50万円
日常生活で一時的に必要な費用50万円

上記の貸付額は、あくまでも目安です。

必要額に満たない場合は、世帯ごとの状況に応じて上限額580万円以内の範囲で相談できるので問い合わせてみてください。

福祉費に関する相談窓口は、県内の市区町村社会福祉協議会に設けられています。

最寄りの窓口がわからない方は、「都道府県・指定都市社会福祉協議会のホームページ」から検索可能です。

福祉費に申し込むための必要書類
  • 申込書
  • 借受世帯全員の住民票(世帯状況や居住地が確認できる公的書類)
  • 所得証明書類
  • 借入希望金額の根拠となる書類
  • 本人証明書類

福祉費に申し込むための必要書類は、資金の利用目的によって異なります。

原則として利用目的や必要金額を証明するために見積書などの提出が必要なので、捨てずに保管しておきましょう。

また、福祉費は連帯保証人を立てた場合、無利子での融資が受けられます。

連帯保証人なしの場合も融資は受けられますが、利子が年率1.5%必要です。

貸付限度額最大580万円
据置期間貸付けの日(分割貸し付けの場合は最終貸付日)から6ヶ月以内
返済期限据置期間経過後20年以内
利子無利子(保証人なしの場合は1.5%)
連帯保証人原則必要
※いなくても借り入れ可能

求職者支援資金融資は職業訓練中の人でも生活資金を借りられる

求職者支援資金融資はハローワークで職業訓練受講給付金の受給資格があり、給付金だけでは生活できない方を対象とした貸付制度です。

職業訓練受講給付金とは?

職業訓練を受けて再就職、転職、スキルアップを目指す方向けに、月額10万円を生活費として支給する制度です。離職していて雇用保険の受給資格がない・月収8万円以下・世帯年収300万円以下の方などを対象にしています。(令和5年3月末までは、特例としてシフト制で月収12万円以下、世帯月収40万以下の方まで受給可能です)

職業訓練受講給付金は返済の必要がありませんが、求職者支援資金融資はあくまで貸し付けなため返済義務があります。

貸付利率は年3.0%なので、借りる場合は必要最低限に留めましょう。

求職者支援資金融資の申し込みには2つ条件があり、両方を満たす場合のみ申請できます。

申込条件
  • ハローワークで職業訓練受講給付金の支給決定を受けた方
  • ハローワークで、求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けた方

求職者支援資金融資要件確認書は、ハローワークに発行してもらう必要があります。

発行には借り入れを希望する理由が適当かつ、返済意志があることを認めてもらわなければいけません。

きちんと説明できるように家計状況を把握し、貸し付けを必要とする根拠を持つことが大切です。

求職者支援資金融資要件確認書を交付された方は、ろうきん(労金)からお金を借りることができます。

貸付上限額は生計を共にする配偶者・両親・子供の有無によって異なるので注意してください。

単身者など月額最大5万円×受講予定訓練月数(最大12)
生計をともにする配偶者等がいる場合月額最大10万円×受講予定訓練月数(最大12)

同一の訓練の受講予定訓練月数が12ヶ月を超える場合は、最大24ヶ月目まで融資を受けられます

その場合、12ヶ月目が経過するまでにハローワーク・労働金庫での再手続きが必須です。

また、訓練を途中で諦めた方は、1ヶ月以内にハローワークへの届け出と労働金庫での契約変更をしてください。

1ヶ月を過ぎると債務残高の一括返金を求められるため、忘れないよう早めに手続きしましょう。

融資限度額単身者など:月額最大5万円×受講予定訓練月数(最大12)
同一生計者がいる方:月額最大10万円×受講予定訓練月数(最大12)
貸付利率3.0%
据置期間訓練終了月または中途終了月後の3ヶ月以内
償還期限5年以内(貸付額が50万円以上の場合は10年以内)
融資スピード2週間〜2ヶ月程度
相談窓口ハローワーク
必要書類・求職者支援資金融資要件確認書
・支給決定を受けたことが分かる書類(給付金支給記録の写しなど)

母子父子寡婦福祉資金貸付金はひとり親や寡婦家庭の親・子供を対象にした融資制度

母子父子寡婦福祉資金貸付金は、ひとり親や寡婦家庭世帯の経済的な自立を目的とする貸付制度です。

資金は無利子で借り入れでき、子供の進学資金や親の技能取得などの費用に使えます。

主な貸付対象・母子家庭の母または児童
・父子家庭の父または児童
・寡婦または寡婦の扶養する児童
・父母のいない児童
・40歳以上の配偶者のない女子かつ、母子家庭の母や寡婦以の方
※寡婦や40歳以上の方は、現在扶養中の子供がいなくても前年所得が203万6,000円以下なら利用可能
使い道・子供の就学に必要な資金
・子供の入学金
・事業開始費用
・就職に必要な知識技能習得費用
・医療や介護費用
・結婚費用
・転居や住居の維持費用
・生活資金 など

原則として、子供が必要とする資金の貸し付けは連帯保証人なしで借り入れできます

子供への必要資金以外は、連帯保証人が1名必要です。

また、親が子供の修学資金、修業資金、就学支度資金、就職支度資金を借りる場合は、子供が連帯借受人になる点に注意しましょう。

連帯借受人とは?

借受人(申し込み者)と同じ債務を負担する借主です。直接的な契約者ではなくても、借受人と連帯してお金を借りているという扱いになります。

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度は全部で12種類あり、利用目的ごとに融資額や貸付条件が異なります。

内閣府の男女共同参画局のホームページの内容を基準に、各利用目的ごとの条件をまとめたので参考にしてください。

融資限度額貸付期間据置期間償還期限
就職支度資金100,000円1年6年以内
事業開始資金3,140,000円1年7年以内
事業継続資金1,570,000円6ヶ月7年以内
医療介護資金340,000円〜500,000円医療又は介護終了後6ヶ月5年以内
就学資金月額51,000円〜183,000円就学期間中当該学校卒業後 6ヶ月20年以内
※専修学校(一般課程)5年以内
就学支度資金64,300円〜590,000円当該学校(小学校の場合は中学校)卒業後6ヶ月・就学:20年以内
・修業:5年以内
住宅資金1,500,0006ヶ月6〜7年以内
転宅資金260,000円6ヶ月3年以内
結婚資金300,000円6ヶ月5年以内
生活資金月額105,000円〜141,000円・知識技能を習得する期間中5年以内
・医療又は介護を受けている期間中1年以内
・離職した日の翌日から1年以内
貸付期間満了後6ヶ月5〜20年以内
技能習得資金月額68,000円
※運転免許は460,000円
知識技能を習得する期間中かつ5年以内知識技能習得後1年20年以内
修業資金68,000円知識技能を習得する期間中かつ5年以内知識技能習得後1年20年以内

母子父子寡婦福祉資金貸付金の申請・相談は、最寄の地方公共団体の福祉担当窓口で行えます。

主な必要書類
  • 貸付申請書
  • 調査同意書・誓約書
  • 戸籍謄本(発行後3カ月以内)
  • 母子父子寡婦を証明する書類(児童扶養手当証書などの)
  • ひとり親もしくは寡婦の市町村民税課税状況がわかるもの
  • 連帯保証人の住民票や所得証明書等
  • その他資金の種類に応じ必要な書類

融資実行までは約3ヶ月程度かかるので、余裕を持って申請してください。

教育一般貸付(国の教育ローン)は子供1人につき最大350万円まで低金利で借り入れできる

教育一般貸付は中学卒業以上の子供の教育資金を融資してもらえる貸付制度です。

国の教育ローンとも呼ばれており、40年以上の実績があります。

子供1人につき最大350万円(条件次第で450万円)まで借り入れができ、資金は幅広い目的に利用可能です。

融資対象者・中学卒業以上の子供を持つ保護者
・子供が修業年限6ヵ月以上(外国の教育施設は3ヵ月以上)かつ、中学校卒業以上の学校に在学
・進学する場合
・世帯収入が所得制限以下
主な利用目的・受験費用
・入学金や授業料
・定期代
・在学のためのアパート代
・修学旅行代
・教材やパソコンの購入費用 など

教育一般貸付は大学や短大の研究生・聴講生、公務員として通う学校・企業内教育訓練施設への利用は対象外です。

また、教育一般貸付には扶養している子供の人数に応じた所得制限が設けられています。

具体的な内容は以下の表を参考にしてください。

子供の人数世帯年収(所得)の上限額
1人790万円(600万円)
※一定条件で上限990万円(790万円)までの緩和あり
2人890万円(690万円)
※一定条件で上限990万円(790万円)までの緩和あり
3人990万円(790万円)
4人1,090万円(890万円)
5人1,190万円(990万円)

子供の人数が2人以内の場合、以下の条件に1つでも当てはまれば所得制限の緩和が受けられます。

所得制限の緩和条件
  • 勤続(営業)年数が3年未満
  • 居住年数が1年未満
  • 世帯のいずれかの方が自宅外通学(予定)者
  • 借入申込人またはその配偶者が単身赴任
  • 利用目的が海外留学資金
  • 借入申込人の年収(所得)に占める借入金返済の負担率が30%超
  • 親族などに「要介護(要支援)認定」者がいて、その介護に関する費用を負担
  • 大規模な災害により被災した方
  • 新型コロナウイルス感染症の影響で世帯の収入または所得が減少した方

災害や新型コロナウイルスを理由とした条件緩和を望む場合は、直接教育ローンコールセンターへの電話が必要です。

教育ローンコールセンターの電話番号0570-008656
・(03)5321-8656

また、教育一般貸付は、奨学金との併用もできます

奨学金は日本学生支援機構が主体になって行う学生向けの制度で、学習目的の費用を月額払いで借入可能です。

簡単な制度の違いは以下の表を参考にしてください。

教育一般貸付奨学金
申し込み窓口日本政策金融公庫
※郵送申し込み可
在学している学校の奨学金窓口
募集期間いつでも春(給付奨学金は春、秋)
借受人保護者学生
返済必要住民税非課税世帯は不要

子供に借金をさせたくない方は、親が借りられる教育一般貸付がおすすめです。

積立型の生命保険と契約している場合は、契約者貸付制度を利用すると生命保険からお金を借りることができます。

教育一般貸付は固定金利1.95%で借り入れができるため家計管理がしやすく、最長18年でゆっくり返済できます。

在学中は利息のみ返済することも可能なので、お金がかかる時期の返済負担を抑えやすいのも魅力です。

教育一般貸付は、審査申し込みから貸し付けまで平均20日前後かかります

特に10月~3月の入学シーズンは混み合うため、余裕を持って申し込みましょう。

また、契約時には、合格通知書や入学許可書等の合格が確認できる書類の写しが必要です。

看護師等修学資金は指定の施設で従事することを条件に無利子で借り入れできる

看護師等修学資金は保健師・助産師・看護師・准看護師になるための学校(養成所)に通っている方を対象にした貸付制度です。

卒業及び免許取得後、すぐに看護業務に従事することを条件に無利子での借り入れができます

看護師等修学資金の目的は、各都道府県内の医療従事者を確保することです。

制度を利用した県内の指定施設に一定期間従事した場合は、借入額の一部または全額返還免除を受けられる可能性があります

指定施設や期間、貸付条件などは都道府県によって異なるため学校に直接問い合わせましょう。

目安として、借り入れ可能な金額は月額20,000〜100,000円以下程度であることが多いです。

入学費などのまとまったお金が必要な方は、教育一般貸付や就学支援費などの利用を検討してみてください。

窓口入学予定・在学中の養成施設
募集時期毎年4月頃
連帯保証人必要

ただし、退学・県外転出・卒業後すぐに指定施設に従事しなかった場合などは、一括全額返還を求められます。

指定病院で看護師として働く覚悟が決まっていない場合は、注意が必要です。

生活困窮者自立支援制度は相談内容に応じた解決策を見つけてくれる

生活困窮者自立支援制度はさまざまな理由で生活が成り立たず困っている方の自立を助ける制度です。

個々の状況を聞き取り、最適な解決策を提案してくれるため「どこに相談していいかわからない」方に向いています。

主な対象者や支援内容は、以下の通りです。

事業対象者支援内容
自立相談支援事業生活に困り事や不安がある相談内容に応じた支援プランの作成
就労準備支援事業コミュニケーションが苦手等の理由で就労が困難な方
※一定の資産収入に関する要件を満たす必要あり
・一般就労に向けた基礎能力の養成を支援
・就労機会の提供
就労訓練事業直ちに一般就労することが難しい方・個人に合った作業機会の提供
・個別の就労支援プログラム
・一般就労に向けた支援を中
・長期的に実施
一時生活支援事業・住居のない方
・不安定な住居形態の方(ネットカフェなど)
・宿泊場所や衣食を一定期間提供
・就労支援などの自立支援
住居確保給付金の支給・離職などにより住居を失った方
・住居を失うおそれの高い方
・一定期間、家賃相当額を支給
・就職に向けた支援
※就職に向けた活動をするなどの条件あり
家計改善支援事業・家計状況に不安がある方
・家計管理がうまくできない方
・家計管理の手伝い
・支援計画の作成
・相談支援や関係機関への案内
・貸付のあっせん
生活困窮世帯の子どもの学習・生活支援事業子供と保護者
※一定の資産収入に関する要件を満たしている方
・子供の学習支援
・進学に関する支援
・高校進学者の中退防止

細かい条件や内容は都道府県・市によって異なります。

自立相談支援機関 相談窓口一覧」から最寄りの窓口を探し、相談してみてください。

生活保護は返済義務なしで最低限の生活費を援助してもらえる

生活保護は生活困窮者が最低限の文化的な生活が送れるよう生活保護費を支給し、援助する制度です。

個人ではなく世帯を対象に行うため、申請の際は世帯全体の資産や生活能力等を調査されます。

生活保護の受給条件
  • 売却できる資産がない
  • 親族等の援助を受けられない
  • 世帯収入が最低生活費以下

厚生労働大臣が定める最低生活費の基準は、以下の通りです。

東京都区部等地方郡部等
3人世帯(両親と子供)158,760円139,630円
高齢者単身世帯77,980円66,300円
高齢者夫婦世帯121,480円106,350円
母子世帯(子供2人)190,550円168,360円

資産の売却や就労など、努力すれば生活できる場合は基本的に生活保護の受給はできません。

病気や障害等で働けない方は、信憑性を高めるためにあらかじめ医師の診断を取っておくといいでしょう。

また、自宅などの資産があると生活保護は受けられないイメージがありますが、住居用の場合は例外的に認められることがあります。

持ち家がある人でも申請できます。

利用しうる資産を活用することは保護の要件ですが、居住用の持ち家については、保有が認められる場合があります。まずはご相談ください。

出典:厚生労働省

生活保護の相談窓口は、各自治体の福祉事務所です。

相談に必要な書類はないため、生活が苦しい方はひとまず相談してみるといいでしょう。

生活保護を申請した場合、回答は原則14日以内に行われます。

最長でも30日となっているため、30日を過ぎても回答がない場合はもう一度問い合わせてみてください。

国から事業性資金を借りる方法!

国の公的融資制度には、事業者向けのものもあります。

開業資金・経営改善のための設備投資・未払賃金の立て替えなど、目的に合わせた借り入れが可能です。

以下の表では、各制度の内容を簡単にまとめています。

自身の目的に合いそうな事業者向けの貸付制度があるか確認してください。

目的目的に該当する国の融資制度
個人事業主が国からお金を借りたい日本政策金融公庫の一般貸付
開業資金を国から借りたい新創業融資制度
従業員20名以下の事業主が経営改善の資金を借りたいマル経融資
緊急で事業性資金が必要小規模共済の貸付制度
倒産によって生じた従業員への未払賃金を立て替えて欲しい未払賃金立替払制度

個人向けの公的融資制度と同じく、基本的に低金利または無利子のものが多いです。

ただし、貸し付けまで最短1ヶ月程度かかる場合が多いので、早めに相談しましょう。

日本政策金融公庫の一般貸付はほとんどの中小企業が対象

日本政策金融公庫の一般貸付では、中小企業を対象に事業性資金を貸し付けています。

一般的な事業性資金の貸し付けは開業歴に細かい規定がありますが、一般貸付は特に規定がありません。

ほとんどの業種が利用でき、最大7,200万円までの事業性資金が借り入れできます

融資限度額や返済期間は資金の利用目的によって異なるため、以下を参考にしてください。

融資限度額返済期間
運転資金4,800万円最大7年以内(うち据置期間2年以内)
設備資金4,800万円10年以内(うち据置期間2年以内)
特定設備資金7,200万円20年以内(うち据置期間2年以内)

一般貸付を利用したい方は、日本政策金融公庫のネット申し込みがおすすめです。

24時間365日受け付けしているので、必要だと感じたらすぐに申し込みができます。

ただし、一般貸付で借りたお金は、開業資金としては使えません。

開業したい方は、次に紹介する「新創業融資制度」の利用を検討してみてください。

新創業融資制度は開業したい方や開業後まもない方でも低金利で借り入れできる

新創業融資制度はこれから開業したい方・事業開始後2年未満の方を対象にした貸付制度です。

他の融資制度と併用することを前提に、無担保・無保証人で融資を受けられます

限度額3,000万円(うち運転資金1,500万円)
金利0.93〜3.45%(令和5年2月1日時点)
資金用途・開業資金
・設備資金
・運転資金
返済期間併用する融資制度の返済期間内
担保不要
保証人不要
相談窓口日本政策金融公庫の国民生活事業

これから開業したい方や開業後1年未満の方は、創業時に必要な資金総額のうち10分の1以上の自己資金が必要です。

例外として、現在勤めている企業と同種の事業を始める場合などは自己資金がなくても申し込めます。

また、新創業融資制度の審査に申し込む際は、事業計画をまとめた創業計画書の提出が必要です。

内容が適正かつ、申し込み者に計画の遂行能力があると認められなければ審査には通りません。

申請前に、提出する創業計画書の中身が実現可能かどうか念入りに確認しておきましょう。

マル経融資は商工会議所や商工会の指導を受けている中小企業向けの融資

商工会議所や商工会などから経営指導を受けている従業員20名以下の法人または事業主は、マル経融資が利用可能です。

限度額2,000万円の範囲内で、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で借りられます。

限度額2,000万円
融資速度申し込みから2〜3週間程度
金利1.18%(令和5年2月1日時点)
資金用途・運転資金
・設備資金
返済期間・運転資金:7年以内(据置期間1年以内)
・設備資金:10年以内(据置期間2年以内)
担保不要
保証人不要
相談窓口最寄りの商工会議所

マル経融資を利用するには、商工会議所会頭、商工会会長等の推薦が必要です。

金利などの詳細は各商工会議所によって異なる可能性があるため、あらかじめ問い合わせておきましょう。

また、設備投資を行う場合に限り、以下の融資制度とも併用できます。

マル経融資だけでは必要経費が工面できない方は、併用を検討してみてください。

小規模共済の貸付制度は共済加入者なら即日〜3日程度で融資を受けられる

小規模企業共済に加入している方は、共済の貸付制度を利用できます。

借入限度額は、掛け金の納付期間に対して7〜9割程度です。

例えば、一般貸付制度の場合だと、最大2,000万円まで事業性資金が借りられます。

小規模企業共済でお金を借りる方法は全部で7種類あり、状況に応じた借り入れが可能です。

各制度の内容を簡単にまとめたので、参考にしてください。

貸付制度金利内容
一般貸付制度1.5%迅速に事業性資金が必要な場合
緊急経営安定貸付け0.9%経済環境の変化等が原因で一時的に経営が困難な場合の資金
傷病災害時貸付け0.9%疾病や負傷で一定期間入院したり、災害の被害を受けた場合の経営安定化に必要な資金
福祉対応貸付け0.9%共済契約者や同居する親族の福祉向上に必要な資金
創業転業時・新規事業展開等貸付け0.9%新規開業・転業・事業多角化などに必要な資金
事業承継貸付け0.9%事業承継(事業用資産または株式等の取得)に必要な資金
廃業準備貸付け0.9%廃業を円滑にするために必要な資金

「一般貸付制度」の申し込みは、借入窓口登録を登録した金融機関で行えます。

借入窓口を未登録の場合、商工組合中央金庫(商工中金)の本店または支店で借入手続きが可能です。

登録している窓口が商工中金の場合は、午後2時までに窓口で手続きすると当日中に借り入れできます

その他の金融機関の場合は、融資を受けるまで2〜3日程度みておいてください。

「一般貸付制度」以外の貸し付けは、「小規模共済融資課」で申し込みが可能です。

必要書類は利用する制度や申込内容によって異なる可能性があります。

ここでは一例として一般貸付制度の必要書類を紹介するので、参考にしてください。

一般貸付制度の必要書類
  • 印鑑登録証明書(発行後3か月以内の原本)
  • 本人確認書類
  • 貸付金額に応じた収入印紙
  • 共済契約者本人の実印
  • 貸付金借入申込書
  • 共済契約者番号が掲載されている中小機構からの送付物

また、貸し付けの原則として、契約者本人が現在・将来にわたって反社会的勢力や類する行為に関わらないことを確約する必要があります。

詳細な問い合わせは、問い合わせフォームで相談できます。

問い合わせには「共済契約者番号」が必要になるので、用意しておきましょう。

未払賃金立替払制度は倒産した際に従業員の未払い賃金を8割立て替えてくれる

未払賃金立替払制度は会社の倒産で未払いになっている賃金を国が8割まで立て替える制度です。

相談は全国の労働基準監督署で受け付けており、最寄りの窓口から相談できます。

主な申込条件
  • 事業活動歴が1年以上
  • 法律上の倒産または事実上の倒産をしている

中小企業の場合、事実上の倒産でも申込対象になります。

「法律上の倒産」と「事実上の倒産」の主な違いは、以下を参考にしてください。

内容必要なもの
法律上の倒産・破産
・特別清算
・民事再生
・会社更生
破産管財人等による倒産の事実等の証明
事実上の倒産・中小企業について事業活動が停止し、再開する見込みがない
・賃金支払能力がない
労働基準監督署長の認定

倒産の事実等の証明に必要な書類は、労働基準監督署で用意されています。

そのため、法律上・事実上どちらの場合でも、まずは労働基準監督署へ行ってください。

また、立替対象になるのは、破産手続き開始等の申し立てまたは認定日の6ヶ月前から2年の間に退職した労働者への未払賃金分のみです。

定期賃金と退職金は対象になりますが、ボーナスは対象外なので注意しましょう。

事業主はたとえ倒産しようとも従業員の給料を全額支払う義務があります。

労働基準法第二十四条で定められている義務なので、違反した事業主は罰金を科せられる可能性も高いです。

破産手続き開始等の申し立て・認定が遅くなると未払賃金立替払制度が使えないケースも出てくるので、早めに申請を行いましょう。

国からお金を借りるときに気を付けたい審査のポイント

国からお金を借りる際に最も重要なのは、信頼を得ることです。

審査条件を満たすことは大前提ですが、限りのある財源を使う以上、誰にでも貸すことはできません。

国の貸し付けは返済を前提にしているので、担当者は申込者の人柄を見極める必要があります。

人として信用できないと思われてしまうとそれまでなので、担当者に対しては協力的な態度を心がけましょう。

協力的と判断してもらうためのポイント
  • 質問内容に嘘偽りなく答える
  • 現状を把握し、具体的な悩みを相談する
  • 提案や指導は素直に受け取り、行動する
  • 必要書類は可能な限りすぐに提出する
  • 面談の予定・時間をきちんと守る
  • 具体的な返済計画を立てておく
  • 横柄な態度を取らない

担当者もプロである以前に人間なので、横柄な態度を取るのは絶対にやめましょう。

また、約束にルーズだと、返済も滞りそうだと判断される危険があります。

面談や提出書類などの期日は、必ず守りましょう。

融資制度別の審査通過率は高い?

国が行う融資制度は生活困窮者を助ける目的で行われています。

主に住民税非課税世帯や高齢世帯などを対象にしているため、基本的には条件さえ満たせば審査に通過する可能性は高いです。

一部の自治体では、生活福祉資金の具体的な審査通過率を公表していて平均的な数字は90%以上と報告されています。

以下の表は、千葉県社会福祉協議会が令和2年度に報告した生活福祉資金に関する事業報告書を元に作成したものです。

申込件数辞退等決定率
福祉金134件3件90.30%
緊急小口資金758件0件96.57%
教育支援・支度費878件26件95.90%
教育支援費81件0件100%
就学支度費57件0件98.25%

報告書によると、福祉金を除くすべての制度で95%以上の方が審査に通過しています。

このことから、審査条件を満たして申請すればほぼ通過できると考えていいでしょう。

収入がない場合は審査で不利になる傾向がある

国の行っている貸付制度の多くは、返済を前提にしています。

収入のない状態だと返済が見込めないと判断され、審査が不利になる可能性は否めません。

ただし、生活保護は障害などの正当な理由であれば、収入がなくても利用可能です。

また、明確な返済の意志や働く意志が認められれば、融資を考慮してもらえる可能性もあります。

特に、生活困窮者自立支線制度や求職者支援資金融資などは職がない方向けの支援制度なので、積極的に活用しましょう。

国から即日融資を受けることはできる?

国の融資制度は、基本的に即日対応していません

融資が早いと言われる緊急小口資金でも、貸し付けまで1〜2週間はかかります

生活が行き詰まっていると2週間さえも長く感じますし、精神的な不安は判断力を鈍らせるなど悪循環です。

そのため緊急性が高い方は、即日融資に対応している消費者金融を利用しましょう。

消費者金融は金利相場が18%程度と高めですが、大抵初回借り入れから30日程度の無利子期間が設けられています。

必要最低限だけを借りることを心がければ負担も抑えられるので、消費者金融は一時的な生活を支えるのに有効です。

この記事の監修者

宮野茉莉子

1984年生まれ。東京女子大学卒業後、野村證券に入社。ファイナンシャルプランナーとして活躍。2011年よりフリーランスでライターとして活動し、マネー分野の記事を執筆している。
得意分野:金融商品、投資
資格:2級FP技能士証券外務員一種中学高校社会科教員免許