任意整理とはどんな手続きのこと?
任意整理のわかりやすい情報が知りたい…
上記のような方に最適の記事です。
結論から言うと、任意整理とは債務整理の選択肢のひとつで、債権者と利息を免除する交渉して支払額を減らす手続きのことです。
債務整理の中で最も選ぶ人が多いのが任意整理で、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することで得られるメリットが多いです。
メリットが多いとはいえ、任意整理をすることによるデメリットも気になりますよね。
そこで本記事では任意整理とは何なのかをわかりやすく解説し、任意整理を相談するのにおすすめの弁護士・司法書士事務所も紹介します。
これから任意整理を検討している人は参考にしてください。
- 任意整理とは月々の借金返済額を減額するための手続き
- 任意整理をすることで利息がカットされ毎月の負担額が減る
- 任意整理をすることで一定期間ブラックリストに登録される
- 任意整理は個人で行うよりも弁護士や司法書士に依頼するべき
当コンテンツについて
当コンテンツは弁護士として債務整理を取り扱った経験者の監修の基で公開されています。
監修者情報
福谷陽子/元弁護士ライター
京都大学法学部卒業後、弁護士登録 実務経験を10年程度積んだ後にライターへ転身 弁護士時代に債務整理を数多く取り扱った経験をもとに現在も任意整理をはじめとする債務整理に関する記事に多数携わる 難しいことをわかりやすくより多くの人へ伝えたいというモットーのもとに、執筆や監修、編集や取材など精力的に取り組む
任意整理とは?わかりやすく仕組みを解説
そもそも任意整理とは、どのような手続きなのでしょうか?
結論から言うと、任意整理とは債務整理のひとつで、利息を免除してもらう手続きです。
任意整理についてわかりやすく解説していき、任意整理のための条件も解説していきます。
そもそも任意整理とは?
まず、任意整理についてわかりやすく解説します。
任意整理とは債権者(お金を貸す側)と債務者(お金を借りている側)が、利息などの軽減のために交渉することです。
原則として利息をカットし、3〜5年程度の分割で返済する内容の和解契約を債権者と結び、以後この和解内容に従って返済をしていきます。
利息は現行の利息制限法に基づいて引き直し計算が行われるので、払わなければいけない本当の借金額を調べることも可能です。
任意整理は一般的には弁護士・司法書士が代理人として債権者と交渉を行います。
任意整理をすることで、生活に支障のない範囲に支払額を減額することが可能です。
任意整理ができる条件
任意整理は借金があれば誰でも無条件で利用できるわけではありません。
任意整理は以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 安定した収入があること
- 手続き完了後3~5年間で完済できること
- 返済計画を明確に示せる
任意整理は日々の負担額を減らすため、手続きが終わったら再度返済していかなければいけません。
返済していく意志だけでなく、3〜5年で返済していくための実際に返済できることを証明するものとして給与などの安定した収入が必要です。
任意整理できる借金
任意整理できる借金は以下のとおりです。
- カードローン
- 銀行ローン
- リボ払い
- キャッシングなど
任意整理は借金のほとんどが対象です。
金融機関のキャッシングはもちろん、クレジットカードのリボ払いも任意整理が可能です。
任意整理と個人再生の違い
任意整理以外の債務整理として個人再生と自己破産があります。
個人再生とは裁判所に再生計画の認可決定を受け、借金を5分の1から〜10分の1までに減少する手続きです。
任意整理と個人再生の大きな違いは「借金の減額」です。
任意整理は将来の利息を免除してもらう手続きであるとご紹介しました。
一方、個人再生は借金自体を5分の1程度まで大幅に減額にしてもらう手続きです。
個人再生は借金を大幅に減額できますが、任意整理と比べ「期間が長い」「費用がかかる」というデメリットがあります。
一般的な本屋やコンビニでは販売されていませんが、官報という広報に氏名や住所などが掲載されることも考慮しましょう。
任意整理と自己破産の違い
自己破産とは財産や収入がが足りず借金の返済の見込みができない場合に、裁判所によって認めてもらい借金の義務が免除されるシステムです。
自己破産は任意整理とは違い、法的に債務返済の義務がなくなることがメリットです。
しかし、自己破産は任意整理と比べて以下のようなデメリットがあります。
- 家や車などの財産を処分する必要がある
- 官報という機関誌に氏名と住所などが掲載される
- 保証人へ影響が出る
- 職業制限がある
任意整理や自己破産ではどちらもブラックリストに登録されますが、自己破産の方がデメリットが大きいです。
また任意整理に比べると、手続きの期間は長く、かかる費用は高くなります。
以下は任意整理と個人再生・自己破産の違いの表です。
任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | |
---|---|---|---|
借金の減額度 | 利息のカットのみ | 借金の元金の5分の1 (最大で10分の1) | 全額免除 |
弁護士・司法書士に 依頼する費用 | 5万〜10万 | 50万〜80万円 | 30万〜130万円 |
かかる期間 | 1ヶ月〜3ヶ月 | 3ヶ月〜6ヶ月 | 6ヶ月〜1年 |
デメリット | ブラックリストに載る 保証人に支払い義務が移る | ブラックリストに載る 官報に載る 保証人に支払い義務が移る | ブラックリストに載る 官報に掲載される 財産を失う 職業や資格に制限がかかる 保証人に支払い義務が移る |
裁判所とのやりとり | 必要なし | 裁判所への出廷が必要 | 裁判所への出廷が必要 |
保証人 | 影響なし | 返済義務が移る | 返済義務が移る |
バレる可能性 | ほとんどない | 基本バレないが、裁判所とのやりとりがあるため可能性あり | 基本バレないが、裁判所とのやりとりがあるため可能性あり |
抱えている債務が任意整理や個人再生では返済できないという方は、自己破産に強い事務所に相談して手続きを検討してみましょう。
借金の元金だけを返済したい場合は任意整理
元金だけの返済にするのであれば、任意整理をすることをおすすめします。
任意整理では、利息や遅延損害金の負担を減らしてもらい元金だけの返済にする手続きになります。
加えて他の債務整理に比べると手続き後の生活におけるデメリットが少ないです。
任意整理は個人再生や自己破産と異なり、裁判所を利用しないので柔軟な解決ができます。たとえば特定の債権者だけ選べるので、連帯保証人がついている借金があっても保証人に迷惑をかけずに済みます。必要書類も少なく費用も低めなので、債務者の方にとってはメリットが大きいでしょう。ただし任意整理後には残った借金を支払っていかねばなりません。途中で支払いができなくなったらトラブルが大きくなる可能性があるので、任意整理後も支払いは計画的に行うようおすすめします。
任意整理をするとどうなる?メリット・デメリットを紹介
任意整理をするメリット・デメリットを紹介していきます。
任意整理のメリット
- 将来利息が免除される
- 周りにバレない
- 財産を残すことができる
- 比較的手続きが簡単
任意整理のメリットとしては、利息が免除されるため月々の負担額が減ることです。
また周りにバレることもなく手続きを進めることもできます。
個人再生や自己破産だと財産を没収されることがありますが、任意整理では財産が没収されずに手続きを進めることができます。
他の債務整理に比べると手続きが簡単なので時間がかからないのもメリットです。
大体の目安としては、任意整理は1〜3ヶ月、個人再生は3〜6ヶ月、自己破産は6ヶ月〜1年かかります。
任意整理のデメリット
- ブラックリストに登録される
- 保証人に支払い義務が移る
- 一定期間口座が凍結される可能性がある
任意整理のデメリットとしては他の債務整理のデメリットと同様にブラックリストに登録されることです。
ブラックリストに登録されることで以下のようなことができなくなります。
- クレジットカードの利用
- クレジットカードの新規契約
- ローン契約
- 借り入れ
- 携帯電話の分割購入
ブラックリストはあらゆる金融機関で共有されるため、ローンなど審査があるものには通らなくなります。
しかし、ブラックリストは一度登録されても5年程度で登録が消されます。
ブラックリストから登録が消えると、審査に通ったりクレジットカードを利用することが可能です。
任意整理をすると、銀行側が預金残高から少しでも借金を回収しようとするため、銀行口座が一時的に凍結される可能性があります。
口座凍結は1〜3ヶ月ほどで、その期間は、銀行からの引き出しや、各種支払いなどができなくなります。
以下は任意整理をするメリット・デメリットの一覧です。
メリット | デメリット |
---|---|
将来利息が免除される 借金が会社にバレない 財産を残すことができる 債務整理の中では手続き簡単 | ブラックリストに登録される 一定期間口座凍結される可能性がある 保証人に請求が移る |
任意整理はしない方がいい?手続き後の生活はどうなる?
任意整理後について解説していきます。
- 日常生活
- 借金の返済に関して
- 費用の支払いについて
任意整理をしても以下のようなことは問題なくできます。
- 職業制限なく働く
- 携帯電話も使える
- 車や家などを失わずに使える
できなくなることとしてお金に関する契約とお伝えしましたが、それ以外で見れば、任意整理後は他の人と変わらない生活を送ることが可能です。
返済に関しては、任意整理を弁護士・司法書士に依頼したら「受任通知」が送付されるので支払いは一時的にストップします。
任意整理の手続き終了後は返済再開されますが、債権者と取り決めた和解案にしたがって借金を返済していきます。
通常は利息をカットし3年以内に完済をしますが、場合によっては5年以内に延長することも可能です。
返済方法については自身で債権者に振り込むか、弁護士・司法書士を通して各業者に送金してもらう方法があります。
複数から借り入れしている場合は弁護士・司法書士にまとめて送ることも可能です。
また任意整理の手続き終了後には、依頼した弁護士や司法書士に報酬金を支払う必要があります。
費用を払えなくなった場合、和解案が白紙になったり、弁護士・司法書士が辞任する可能性があります。
費用の支払いは確実にできるようにしましょう。
たしかに任意整理をするといわゆる「ブラックリスト」の状態になってローンやカードを利用できなくなります。ただ、借金返済が滞るといずれにしてもブラックリストになります。カードローンなどの返済を2か月分程度滞納したら、それだけで信用情報に事故情報が登録されてしまうのです。結局ブラックリストになるなら、遅れるより先に任意整理をして借金問題を解決した方がよいでしょう。また任意整理をしても5〜7年程度が経過したらブラック情報が消されてまたローンやカードを使えるようになってくるケースが多数です。
任意整理を検討するべき人の特徴を紹介
任意整理をするべき人はどのような人なのかを紹介していきます。
結論から言ってしまえば、自力での借金返済が難しければ任意整理を検討する価値があります。
最初のうちは返済できていたとしても、長期にわたって苦しい生活を強いられるため、完済まで至らないケースもあります。
弁護士・司法書士に話すことで、借金問題の解決の1歩となるでしょう。
借金を滞納している
借金を滞納してしまうと、債権者から残高を一括請求されます。
しかし、任意整理をすることで解決することができます。
任意整理をすることで、分割払いにできたり、遅延損害金をカットできるからです。
借金を滞納してしまって、支払いに困っている方は任意整理をするのがおすすめです。
返済期間が5年以上続いている
返済期間が長期化していると、そもそもの元金が減っていない可能性があります。
最低限しか払うことができないと、支払った額の多くが利息になってしまいます。
任意整理で利息をカットすることができれば、返済した額は全て元金の分です。
完済までの道のりが短くなります。
安定した収入はあるが、借金完済をするのが困難だと感じている
安定した収入があっても、家族がいると生活費の支出が多くて借金の返済が困難に感じる方もいるでしょう。
任意整理では借金額を減らすことはできないですが、月々の負担額を減らすことは可能です。
また、弁護士や司法書士に相談することで、生活に支障が出ないような返済計画も一緒に立ててくれます。
借金額が年収の3分の1を超えている
借金の総額が年収の3分の1を超えている場合、任意整理を検討した方がよいでしょう。
毎月小さな額しか返せず借金の返済が長期化する可能性が高いからです。
任意整理で利息をカットするだけでも、先の見通しがよくなるでしょう。
複数の金融業社から借入している
複数の金融業社から借入している場合も任意整理をすることをおすすめします。
複数社から借金をすると、利息の負担は大きい上に、返済はどんどん長期化していき、借金の管理が難しくなってきます。
複数借から借入をしている方は、任意整理をして利息をカットすることで利息の負担は減らすことが可能です。
また、任意整理後の返済についても、1つにまとめて弁護士・司法書士へ送金する返済方法もあるため、管理も楽になります。
誰にもバレずに借金問題を解決したい
借金問題を家族や知人に相談することに抵抗がある方もいるでしょう。
相談はできないけど、借金の返済が辛いと感じる方は任意整理を検討することをおすすめします。
任意整理は、手続きも簡単で周りにバレることなく月々の負担額を減らすことが可能です。
誰にも相談せずに、借金で借金を返済したり、闇金に手をつけることは避けましょう。
まずは専門家に相談することが借金解決への大きな一歩となります。
こんな場合は注意|任意整理ができない人の特徴
任意整理では、多くの場合債権者が受け入れてくれますが、和解できないケースもあるので押さえておきましょう。
以下のようなケースでは、任意整理に失敗してしまう可能性があります。
- 個人で手続きを行う
- 返済実績がない
- 複数回目の任意整理
個人で手続きを行う場合には、そもそも債権者が交渉に応じてくれない可能性がありますので弁護士や司法書士に依頼した方が良いです。
債権者は任意整理において、交渉に応じる義務はないので素人相手では応じない可能性があります。
また返済実績が少なかったり、任意整理をするのが複数回目の場合、「初めから任意整理をする上で借りているのでは」と疑問を持たれてしまいます。
半年以上の返済実績があることが望ましいです。
任意整理には色々なメリットがあります。たとえば必要書類や少なく費用が安いこと、保証人や個人の借入先に迷惑をかけずに借金を整理しやすいことなどです。上記にあがっている以外にも、楽に借金問題を解決したい方や保証人・個人の借入先に迷惑をかけたくない方、財産を失いたくない方や官報公告されたくない方などにも任意整理が適しています。どの債務整理手続きが向いているかは個別状況によっても変わってくるので、自己判断は禁物です。弁護士や司法書士などの専門家に相談して判断してもらいましょう。
任意整理にかかる費用
任意整理を弁護士・司法書士に依頼する場合の費用について解説します。
任意整理でかかる費用は債権者1社あたり5~10万円が相場です。
任意整理にかかってくる費用には以下のようなものがあります。
任意整理は自己破産や個人再生といった他の債務整理に比べて費用は安いですが、しっかりと確認していきましょう。
任意整理にかかる費用①|相談料
相談料とは弁護士や司法書士などの専門家に任意整理に関して相談した際に発生する費用のことです。
ただ、相談料は無料という弁護士や司法書士が増えています。
ちなみに、相談に1万円程度かかる場合もあるので、弁護士や司法書士事務所のホームページを確認する必要があります。
任意整理にかかる費用②|着手金
着手金とは任意整理を弁護士や司法書士に依頼するタイミングで発生する費用です。
着手金は任意整理を交渉する借入先の数によって変わります。
1社あたり2万円程度が相場です。
ちなみに、着手金は完全成果報酬制の弁護士や司法書士事務所の際には発生しません。
任意整理にかかる費用③|基本報酬
基本報酬とは任意整理が成功した際に支払う費用です。
基本報酬は3~5万円程度が相場になっています。
任意整理にかかる費用④|過払い成功報酬
過払い成功報酬とは過払い金の回収に成功した際に支払う費用です。
過払い成功報酬は持ってきた過払い金の20%程度に設定されていることが多いです。
任意整理は個人再生や自己破産と比べると費用が安い傾向があります。個人再生や自己破産なら専門家の報酬を含めて30~100万円程度かかるケースもありますが、任意整理なら4万円~で手続きができます。ただし任意整理にかかる具体的な金額は債権者数や依頼する事務所によって大きく異なります。まずは弁護士や司法書士に相談して見積もりを出してもらうとよいでしょう。無料相談を利用すれば相談料がかからないので費用の節約になります。
任意整理の手続き手順と方法
ここからは任意整理の手続きの流れついてご紹介していきます。
任意整理は裁判所を通さない手続きなので、1~3ヶ月で終わります。
任意整理を行う手順は主に以下の6つです。
それぞれの手順について詳しく見ていきましょう。
手順①:弁護士・司法書士に相談する
任意整理を行う時には、まずは弁護士や司法書士に相談するようにしましょう。
債権者との交渉を素人が一人で行っても、失敗する可能性が高いからです。
その点、債務整理におすすめの事務所であれば、債権者との交渉も数多くこなしていますから、より有利な条件を引き出すことを期待できます。
なお、任意整理の相談だけであれば、多くの法律事務所が無料で行ってくれます。
無料相談では弁護士や司法書士は以下のような項目を聞き、本当に任意整理が可能かどうか教えてくれます。
- 借金の状況
- 財産の状況
- 収入、支出など家計の状況
- 借金先の会社名
- その会社と取引していた期間 など
相談した結果、「この人に依頼しよう」と思った場合には、弁護士や司法書士と委任契約を結びます。
手順②:受任通知を送付する
委任契約を結ぶと、弁護士・司法書士はまず各債権者に対して受任通知を送付します。
受任通知には法的効力があるため、債権者は受け取ると債務者に直接取り立てることが禁止されます。
任意整理の交渉が終わるまで、返済を停止することになるため、生活にも余裕が出ます。
受任通知は委任契約を締結したその日のうちに送付される場合が多いです。
手順③:取引履歴開示請求を行う
弁護士・司法書士は各債権者に対して受任通知を送付するのに加えて、取引履歴開示請求も行います。
取引履歴開示請求とは、債権者に対して、債務者との間の金銭のやり取りの履歴を見せてくれるよう請求するものです。
わざわざ取引履歴開示請求を行うのは、払いすぎてしまった利息があるかもしれないからです。
貸金業者は早ければ1~2週間程度、遅い場合には2~3ヶ月程度で取引履歴を開示してくれます。
ちなみに、貸金業者は取引履歴を開示しなければならないと定められているため、取引履歴の開示を拒否されることは基本的にはありません。
ただ、開示がなかった場合には、再度開示を請求したり、その他の資料をもとに現在の借金額を推計します。
手順④:正確な借金残高を算出
次に、開示された取引履歴をもとに正確な借金残高を算出します。
これは引き直し計算といい、正確な借金残高を計算する処理のことです。
引き直し計算の結果、払いすぎていた利息、過払い金が発生している場合もあります。
過払い金が発生していた場合は、過払い金返還請求を行います。
過払い金返還請求も弁護士・司法書士が債権者と交渉してくれますが、交渉に応じてくれなかった場合には訴訟を提起が必要です。
回収した過払い金は弁護士・司法書士への報酬の一部にあてられたり、借金の返済の元手に使われたりすることが多いです。
手順⑤:和解案の作成・送付
次に、和解案の作成が行われます。
これは、債権者に対して、借金の額をどの程度減らしてほしいか、返済期間はどの程度にしてほしいか、要求を伝えるためのものです。
具体的には、利息をカットして元金のみの返済にしてもらったり、36回以上の分割払いにして1ヶ月あたりの返済額を減らしてもらったりすることが多いです。
作成した和解案は、任意整理の交渉を行っている各債権者に送付することになります。
手順⑥:和解交渉・締結
次に、和解交渉が行われます。
和解交渉では、和解案をもとに、弁護士や司法書士が債権者と借金の減額を交渉することになります。
この交渉にどの程度応じてくれるかは貸金業者によって異なりますが、中には、まったく譲歩してくれない貸金業者もいるので注意が必要です。
債権者と話し合いが終わったら、和解契約を締結することになります。
和解契約は法的には口頭での確認で十分ですが、後でトラブルになることを避けるためにも、和解書を作成して取り交わすのが普通です。
和解書を取り交わすことで、お互いに約束を破った場合には、約束を守るように請求したり、契約不履行責任を問うたりできるようになります。
ただ、こちら側も約束は守る必要はあり、支払いを延滞するなど約束を破ると契約違反を主張して裁判を起こされたり、強制執行で財産を没収されたりする場合もあります。
和解契約が締結されたら、任意整理は終了で減額後の借金を返済していくことになります。
通常は債権者が指定した銀行口座に振り込むことによって返済していきますが、代わりに弁護士に支払い、弁護士が債権者に支払うという方法が取られる場合もあります。
任意整理を弁護士や司法書士に依頼すると、依頼者ご本人はほとんど何もする必要がありません。専門家が任意整理の具体的な手続き(取引履歴の取り寄せや再計算、債権者との交渉など)をしてくれるので「待っていれば借金が整理されるイメージ」です。かかる期間も比較的短く、早い業者なら1か月程度で合意までできるケースもあります。「楽にすばやく借金問題を解決したい方」にとって、任意整理は非常に適した債務整理手続きといえるでしょう。
任意整理の解決事例
実際に任意整理をした人の成功事例を紹介します。
【成功事例①】毎月の返済額が減り利息も45万円カットに
(20代/男性)
もともと給料が低くギリギリの状態で生活を送っていましたが、そんな中コロナで給料が減ってしまい借金が膨らんでしまいました。弁護士に相談した際は、トータルで300万円程の借金がありました。着手金や相談が無料だったので助かりました。相談後は毎月の返済額が減っただけでなく利息もカットできました。月々の給料も多くないので、45万円カットできたことが大きかったです。同じことを繰り返さないようにしていきたいです。
出典:はたの法務事務所
【成功事例②】奨学金以外の借金もありましたがなんとかなりそうです
(20代/女性)
奨学金の保証人が父親だったため手続きのとしては自己破産ではなく任意整理を提案してもらいました。奨学金は自分で払うようにしていましたが、それ以外にも5社から200万円の借金をしていました。相談前は返済額が9万円で大変でしたが、相談後毎月の返済額は、4.5万円になり私の給料の範囲で支払えるようになりました。
出典:はたの法務事務所
【成功事例③】相談後、半年で全額返済できました
(40代/女性)
離婚をきっかけに生活費が苦しくなりました。子どもも2人いるのですが、私一人では十分な稼ぎがなく借金をしていました。電話では女性の方が対応してくださり最初から安心感がありました。相談料も無料と書いてあったので電話する際も怖くなかったです。半年かけて全額返済することができました。
出典:はたの法務事務所
【成功事例④】多重債務でもだいぶ楽になりました
(40代/男性)
20代の頃から繰り返し借金をしていました。多重債務で、自転車操業に陥りついに出勤もできなくなりました。保険の外交をしており収入は一定あったので自己破産ではなく任意整理で解決してくれました。相談前は7社で400万の債務があり毎月14万円の返済をしていましたが、今は半額程度の8万円の返済になりだいぶ楽になりました。
出典:はたの法務事務所
任意整理で借金問題を解決した方は世の中にたくさん存在します。合意後の利息をすべてカットできるので大幅に借金返済額を減らせるのが大きなメリットです。利息の高いカードローンやクレジットカードの支払をしている方が任意整理をすると、返済額を減額できて支払いが楽になるケースが多々あります。その結果「半年で完済」などの事例も出てくるのです。借金の返済が苦しくなってきた場合や返済が滞ってしまった場合、任意整理をすると解決できる可能性があるのでまずは弁護士や司法書士に相談してみましょう。
任意整理は1人でもできる?最適なのは弁護士・司法書士に相談すること
任意整理は1人できますが、必要書類の準備には時間がかかる上にしっかりとした知識や経験がなければ交渉は難航します。
そのため、任意整理をしたいと思ったら1番よい方法はまずは弁護士・司法書士に相談することです。
任意整理を弁護士・司法書士に相談するメリットには以下のようなものがあります。
弁護士に任意整理を任せるとお金はかかりますが、相談だけであれば、無料の法律事務所もあります。
任意整理するか少しでも迷ったら、一度弁護士・司法書士事務所に相談することをおすすめします。
最適な債務整理の方法を選択できる
弁護士や司法書士に債務整理を相談すると、最適な解決策を選択することができます。
債務整理は「任意整理」「個人再生」「自己破産」と種類があり、状況によって選ぶべき選択が異なります。
そもそも、本当に最適な方法が何なのかわからない場合もあるでしょう。
弁護士や司法書士に相談することで、あなたの状況から最適な選択をしてくれるのです。
また、債務整理によるメリットやデメリットを、あなたの状況に合わせて詳しく説明してもらうこともできます。
債権者からの取り立てを止めれる
任意整理は弁護士や司法書士に相談することで債権者へ受任通知が送付され、取り立てや督促を止められます。
受任通知には法的効力があり、債権者は強制的に取り立てができなくなるからです。
受任通知は早ければ、当日から送付されるので、早めの相談をおすすめします。
金融業者などの債権者から取り立てのストレスから解放されることは大きなメリットです。
面倒な手間を省ける
任意整理を弁護士や司法書士に相談することで、資料の作成などの面倒な手間を省くことができます。
個人で任意整理を行う際には、複雑な手続きや書類がデメリットです。
自己破産や個人再生の場合には、多くの資料を準備しなくてはならないので、大きな負担です。
また、個人で債務整理を行う場合は、督促や取り立てが続くので、精神的にも負担になります。
弁護士・司法書士に任せることで、手間なしに安心して借金問題を解決しましょう。
弁護士と司法書士は違う
弁護士・司法書士に任意整理を依頼する際に注意してほしいのが、弁護士と司法書士の違いについてです。
弁護士は身近に起きる事件やトラブルについて法的にアドバイスをし、代理人として交渉してくれます。
一方で司法書士は、本来は不動産や会社などの登記を行うことが専門です。
任意整理を含む、債務整理においては弁護士と司法書士では扱える範囲が異なってきます。
司法書士は1社あたりの負債額が140万円を超える場合、司法書士に依頼することができません。
債務整理内容 | 弁護士 | 司法書士 |
---|---|---|
任意整理 (140万円以内) | ◯ | ◯ |
任意整理 (140万円を超える) | ◯ | × |
個人再生 | ◯ | ◯ (書面作成のみ) |
自己破産 | ◯ | ◯ (書面作成のみ) |
過払い金請求 (140万円以内) | ◯ | ◯ (交渉・第一審の裁判のみ) |
過払い金請求 (140万円を超える) | ◯ | × |
扱える業務範囲が変わってくるので、ご自身の状況でどちらに依頼するか決めましょう。
司法書士は扱える業務範囲は弁護士よりも狭いですが、費用面では安い傾向があります。
任意整理を自分で行うのは不可能ではありませんが、困難です。また自分で交渉すると不利な条件を押し付けられたり思うように減額してもらえなかったりして、結局はデメリットの方が大きくなってしまうリスクも発生します。任意整理は弁護士や司法書士に依頼するのが得策といえるでしょう。弁護士か司法書士で迷ったとき、「借入額が140万円以上となって借金額が大きい場合」や「相手から裁判を起こされそうな場合」、「相手が強硬で話し合いに応じてくれない場合」などには任意整理を弁護士に依頼するようおすすめします。
任意整理に関してよくある質問
ここでは以下のような任意整理に関してよくある質問をご紹介します。
任意整理をする前に少しでも疑問は解決しておきましょう。
それでは、1つずつお答えしていきます。
- 債務整理とは?どんな手続きのこと?
- 任意整理とは、債権者と債務者が利息の軽減の交渉をすることです。
利息をカットすることで、毎月の返済額の負担を減らすことができます。
- 任意整理で借金の減額はできるの?
- 任意整理は債権者と債務者が利息のカットを交渉するので、借金の減額ができるケースは少ないです。
借金を減額させたい場合には、任意整理ではなく個人再生がおすすめです。
- 任意整理をするメリット・デメリットは?
- 任意整理をすることによるメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
---|---|
将来利息が免除される 借金が会社にバレない 業者から取り立てが止まる 財産を残すことができる 債務整理の中では手続き簡単 | ブラックリストに登録される クレジットカードが使えなくなる 借金が大幅に減額はされないが返済する必要がある 一定期間口座凍結される可能性がある |
- 任意整理後はカードローンやクレジットカードが使えないの?
- 任意整理をするとローンは組めなくなり、クレジットカードも利用できなくなります。
しかし、永久にではなく5年間です。
- 任意整理後に支払えなくなったら?
- まずは、債権者に連絡しましょう。
滞納期間が長くなると債権者から一括請求が来る可能性があります。
支払いを滞納してしまうと、もう一度任意整理をするか、個人再生や自己破産といった別の債務整理をすることになります。
- 任意整理すると住宅ローンはどうなる?
- 任意整理は住宅ローン特則という制度を利用すれば、住宅ローンを払いながら利息を減額できます。
- 任意整理によるブラックリストはどのくらいの期間?
- 任意整理によるブラックリストへの記載は完済後から最長5年間登録されます。返済が早く終わったりすると。予定期間よりも早く記録が消える可能性はありますが、一般的には完済後から5年間と考えておくといいです。
- 任意整理を依頼したあとに弁護士・司法書士を変えることは可能?
- 依頼した後に弁護士・司法書士を変えることができます。しかし、依頼して払った相談料や着手金は返還されません。さらに、新たに依頼するとなると、着手金等再び払う必要があります。