本記事では、無料で使える年末調整ソフトの紹介から、選ぶ際のポイントまでを解説!
年末調整業務を効率化させる年末調整ソフトには、無料で導入できるソフトがあります。自社にあった年末調整ソフトを導入することで、担当者の業務負担の軽減にもつながるでしょう。年末調整ソフトの導入を検討する際には、参考にしてみてください。
目次
年末調整ソフトとは?
年末調整ソフトとは、従業員の年末調整に必要な書類作成や税額計算の効率化を行うツールです。
年末調整業務では源泉徴収票や保険料控除申告書など、従業員ごとにさまざまな書類が必要となることに加え、必要な書類を提出していない従業員への催促やスケジュール管理など、担当者の業務負担は大きくなるのが、どの企業にとっても課題となっています。
年末調整ソフトを導入すれば、年末調整業務の工数を大きく削減でき、担当者の負担軽減に貢献。ほかにも記入ミスや漏れなどのエラーを防ぐこともでき、業務効率化にもつながるでしょう。
年末調整ソフトの無料 / 有料の違い
年末調整ソフトには無料で利用できるソフトと有料で利用できるソフトに分かれています。
無料の年末調整ソフトは、文字通り無料で導入できるため、コストをかけずに利用できるのがメリットです。しかし、有料のソフトとは以下のような違いがあるので、検討前に押さえておくことが大切になります。
- 利用者数の制限がある
- 機能が制限されている
- ほかサービスとの連携が制限されている
無料の年末調整ソフトは、有料ソフトと比較すると利用者数や機能が制限されていることが多いです。たとえば無料の年末調整ソフトの利用者数は「10人まで」のように、少人数のユーザー数しか対応していないケースもあります。
現在の規模はもちろんのこと、将来的に従業員が増える見込みがある場合は、無料の年末調整ソフトでは対応できないことも考えられるでしょう。
また、サービス連携の制限も重要です。年末調整業務は給与計算業務や勤怠管理などと密接に関連しているため、これらの業務に利用しているツールと連携できるかは、業務効率が変わってきます。
まずは、自社で行う年末調整業務が無料ソフトで対応できるかを確認しておくとよいでしょう。
無料で使える年末調整ソフト6選
無料で利用できる年末調整ソフトは、以下の6つです。中には有料プランに切り替えることで、将来の規模拡大にも対応できるソフトもありますので、参考にしてみてください。
HRMOS(ハーモス)年末調整(株式会社ビズリーチ)
『HRMOS(ハーモス)年末調整』は、株式会社ビズリーチが提供している年末調整ソフトです。クラウドで利用できるソフトになっており、オンライン上で申告書の作成や回収、保管が行えます。オンライン上で完結できるため、紙の配布は不要となり、ペーパーレス化にも貢献。
対応デバイスもパソコンに加えて、スマートフォンやタブレットにも対応しているため、いつでもどこからでも申請書の提出が行えます。
なお、「年税額計算」や「源泉徴収票作成」「市区町村・税務署への書類の提出」には対応していないため、注意が必要です。
機能 | 各種申請の作成・回収・保管 回収状況の確認 オンライン上からの申請 HRMOSシリーズとの連携 リマインドメールの送付 |
提供形態 | クラウド |
有料プランに切り替えた場合のコスト | 完全無料 |
セキュリティ体制 | SSL(暗号化) SAMK認証 二段階認証 AWS WAF |
サポート体制 | FAQサイト |
マネーフォワード クラウド年末調整(株式会社マネーフォワード)
出典:https://biz.moneyforward.com/tax-adjustment/
株式会社マネーフォワードが提供している『マネーフォワード クラウド年末調整』は、年末調整に必要な書類の配布・回収から年税額の計算、行政機関への電子手続きまでを一元的に行えるソフトです。
担当者にも従業員にもわかりやすくをコンセプトにしており、年末調整書類の情報は簡単なアンケートビューで完了できます。さらに書類の回収や処理の状況は一覧画面で簡単に確認でき、リマインド操作も画面から簡単に実行。
また、マネーフォワード以外の給与計算ソフトを利用していても、年末調整業務単体での利用が可能なため、現在の給与計算ソフトを活用したまま、導入ができます。
機能 | 各種申請の作成・回収・保管 回収状況の確認 対象者自動判別機能 申請内容を帳票形式で確認 申告画面の英語対応 年税額計算機能 給与等総額の自動集計 |
提供形態 | クラウド |
有料プランに切り替えた場合のコスト | <小規模事業者向け(スモールビジネス)> 年額プラン:3,278円(税込)/月+従量課金 月額プラン:4,378円(税込)/月+従量課金 <中小企業向け(ビジネス)> 年額プラン:5,478円(税込)/月+従量課金 月額プラン:6,578円(税込)/月+従量課金 |
セキュリティ体制 | 要問合せ |
サポート体制 | メール/チャットサポート サポートサイト |
奉行Edge 年末調整申告書クラウド(株式会社オービックビジネスコンサルタント)
出典:https://www.obc.co.jp/bugyo-edge/adjustment
株式会社オービックビジネスコンサルタントが提供している『奉行Edge 年末調整申告書クラウド』は、年末調整のデジタル化を実現させるソフトです。
申告書の配布、回収業務はすべてオンライン上で行い、業務効率化を実現。さらにこれまでの導入実績から、あらゆる運用方法の提案も行ってくれるため、最適なデジタル業務を実現できます。
また、法改正にも完全対応しており、法令に準拠した業務が自動的に実現でき、国税庁が推奨する環境にも対応可能です。
機能 | 従業員通知・従業員提出 提出状況管理・内容確認 申告書出力・給与システム連携 奉行製品連携 |
提供形態 | クラウド |
有料プランに切り替えた場合のコスト | <月額利用料(20名まで)> 990円(税込) <月額利用料(21名以上)> 要問合せ |
セキュリティ体制 | 全データ暗号化 24時間365日運用監視 国際認証SOC1,SOC2報告書取得 「FISC安全対策基準」に準拠 |
サポート体制 | リモートサポート、WEB、TEL、FAX |
オフィスステーション 年末調整(株式会社エフアンドエム)
出典:https://www.officestation.jp/nencho/
『オフィスステーション 年末調整』は、株式会社エフアンドエムが提供しているクラウド型の年末調整ソフトです。
年末調整の多岐にわたる業務をわずか4ステップで完了し、業務負担を大幅に削減します。さまざまな給与ソフトとAPIやCSVを用いて連携でき、業務効率化の実現はもちろんのこと、本当に必要な機能だけを選択するため導入コストも削減可能。
法改正への対応は自動更新となっているため、ユーザー側でアップデート作業も不要です。従業員の操作は「はい」「いいえ」の回答のみで完了する仕様となっており、誰でも簡単に操作ができます。
機能 | 各種申告書の通知、収集 従業員入力サポート 差分データ自動表示 データ一括入力 給与システム連携 |
提供形態 | クラウド |
有料プランに切り替えた場合のコスト | 登録料:110,000円(税込) 20名以上〜5,000名以下:550円/人・月(税込) 5,001名以上:要問合せ |
セキュリティ体制 | 通信データとサーバー本体を暗号化 24時間365日運用監視 不正アクセスの防止(WAF) 脆弱性診断 二段階認証 「ISO/IEC27001」「ISO/IEC27018」認証取得 |
サポート体制 | サポートデスク ヘルプセンター |
フリーウェイ給与計算(株式会社フリーウェイジャパン)
出典:https://freeway-kyuuyo.net/
株式会社フリーウェイジャパンが提供している『フリーウェイ給与計算』は、従業員5人までなら永久無料で利用できる給与計算ソフトです。
年末調整のみではなく、給与計算にも対応しているため、労務周りの業務を整えたい企業にはむいています。
初期費用、バージョンアップ費用まで無料で対応でき、年末調整にかかる必要書類の作成や総支給額の自動計算もカバー。クラウド版のため、Web上で必要な情報の回収もでき、業務効率化にもつながります。
なお、操作サポートは有料版のみとなっているため、注意が必要です。
機能 | 年末調整情報回収 各種申告書の作成および送付 給与・賞与計算 社会保険 労働保険 マイナンバー対応 |
提供形態 | クラウド |
有料プランに切り替えた場合のコスト | 5名まで:永久無料 6名以上:2,178円 |
セキュリティ体制 | 要問合せ |
サポート体制 | AIチャットサポート(無料・有料版) 電話・メール・画面共有(有料版のみ) |
ジョブカン給与計算(株式会社DONUTS)
出典:https://payroll.jobcan.ne.jp/
『ジョブカン給与計算』は、株式会社DONUTSが提供しているクラウド型の給与計算システムです。実際の給与計算担当者の声をもとに開発をしているため、実務の負担軽減につながります。
たとえば給与精算業務の金額はすべて自動計算し、帳票も自動作成で対応可能です。さらに勤怠管理や経費精算などでジョブカンシリーズを利用していれば、連携によって業務効率化が促進されます。
年末調整業務はすべてペーパーレス化となり、書類の配布や記入は不要。管理者と従業員の負担軽減も実現できます。
機能 | ジョブカンシリーズ連携 自動給与計算 自動帳票出力 Todoリスト マイナンバー管理 年末調整機能 |
提供形態 | クラウド |
有料プランに切り替えた場合のコスト | 無料プラン:5名まで 有料プラン:400円(税要確認)/月(1ユーザー) |
セキュリティ体制 | SSL(256bit)を採用 操作履歴管理 IPアドレス制限 ISO 27001 取得 |
サポート体制 | 電話サポート メールサポート チャットサポート |
無料の年末調整ソフトの選び方
無料で年末調整ソフトの導入を検討する場合は、以下の4点を押さえておくことが大切です。
- 機能が十分かを確認する
- 操作性は問題ないかを確認する
- セキュリティ体制を確認する
- 有料プランへの切り替えも視野に入れておく
機能が十分かを確認する
無料ソフトと有料ソフトを比較すると、無料ソフトの場合、機能が制限されていることがあります。必要な機能が利用できないにも関わらず、導入したとしても業務効率化にはつながりません。
「自社の年末調整業務でどこまでをカバーしたいのか」「どんな機能があれば十分なのか」などを確認しておくことが大切です。
たとえば年末調整業務に特化した製品を導入するのか、給与計算ソフトの機能の一部として利用するのかでは、選定するソフトが異なってきます。現在の給与計算ソフトや勤怠管理ソフトなどと連携できるかを確認し、労務管理全般で業務効率化につながるかを確認するとよいでしょう。
操作性は問題ないかを確認する
年末調整業務は管理者だけではなく、従業員にも必要な情報の入力や書類の提出が求められます。そのため、管理者側、従業員側の双方が使いやすいと感じるシステムであることが重要です。
ITスキルが低い従業員でも対応ができるように、見やすいUIとなっているか、直感的な操作ができるかなどを確認しておくとよいでしょう。
セキュリティ体制を確認する
年末調整業務は重要な個人情報を扱う業務です。万が一、外部へ流出してしまうと重大インシデントとして、対象者への賠償責任が発生するだけではなく、セキュリティ体制が甘いという評価を受け、社会的信用を失うことにもつながります。
万が一の事故を起こさないためにも、導入ソフトのセキュリティ体制は万全か、自社のセキュリティポリシーと親和性はあるかなどを確認しておきましょう。
有料プランへの切り替えも視野に入れておく
無料プランでは機能制限に加え、利用する人数が制限されているケースが多くあります。
将来的に従業員数が拡大される予定がある、労務管理全般を見直す予定があるなどの場合は、有料プランへの切り替えも視野に入れて選定するとよいでしょう。
その場合は、「既存のソフトと連携できるのか」や「入れ替えた場合の総合的なコストはどうか」など、確認しながら進めていきます。
無料ソフトでよい企業、有料ソフトを選ぶべき企業
無料ソフト、有料ソフトのどちらの導入で迷っている場合は、以下の基準で考えるとどちらが適しているかが見えてきます。
- 利用人数
- ほかソフトやシステムとの連携
無料ソフトは利用人数が制限されており、小規模事業者やベンチャー企業などでしか利用できないことがほとんどです。検討するソフトによって無料で対応できる範囲は変わってきますが、概ね10人以上の従業員がいるのであれば、有料ソフトを検討すべきといえます。
また、給与計算や勤怠管理システムなどと連携を考えている場合は、有料ソフトを検討するとよいでしょう。連携することで業務効率化が実現できるのはもちろんのこと、入力ミスや転記作業などを失くさせます。
以上から、無料ソフトでよい企業は「小規模事業の企業かつ、年末調整業務単体を効率化させたい企業」になるでしょう。
【番外編】国税庁の年末調整ソフト
民間の年末調整ソフトだけでなく、国税庁の年末調整ソフトを検討するのも一つの方法です。
国税庁の年末調整ソフトは「無料」で利用ができ、申告書の作成から提出をすべてオンライン上で行えます。さらに従業員側の申請も、ガイダンスに沿って進めれば簡単に操作できるように設計されているのも特徴です。
【国税庁の年末調整ソフト概要】
- 従業員それぞれがパソコンやスマートフォンにアプリをインストールして利用
- インストール後、申告書を作成してもらい、電子データとして提出
- サポート体制は無し。インストールマニュアルや操作マニュアルを活用しての対応となる
国税庁の年末調整ソフトは、「年末調整業務の効率化にコストをかけたくない企業」や「規模が大きくなく、年末調整業務の運用に大きな課題は感じていないが電子化を行いたい企業」などに向いており、該当するのであれば民間企業のソフトとあわせて検討してみてください。
無料の年末調整ソフトを導入して労務業務を効率化
年末調整業務は運用や管理に大きな手間がかかる業務です。年末調整ソフトを導入すれば、大幅な工数削減や業務効率化につながるでしょう。
年末調整ソフトは完全無料で利用できるものから、無料トライアルとして用意されているものもあるため、選び方の章を参考に検討をしてみてください。
※本記事では厚生労働省のガイドラインとデジタル庁のワークライフバランスとDX推進に準じ、それを達成する手段と正規の勤怠管理システムを紹介しています。
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