という悩みを抱える人は多いのではないでしょうか。
サプライヤー管理システム(SRMシステム)はサプライヤー評価・管理のプロセスを見える化して、一元管理するシステムです。
販売チャネル管理システムとも呼ばれ、企業がサプライヤーとの理想的な協調関係を構築することで戦略的な調達を可能とし、原価低減も可能となるとされています。
また、単純な購買だけでなく開発設計段階での協業なども含まれます。
今回はおすすめのSRMシステムをはじめ、SRMシステムを導入するメリット、注意点、SRMシステムの比較ポイントなどについて詳しく紹介します。
- SRMシステムは組織に商品やサービスを提供するサプライヤーを正確に評価できる
- SRMシステムを導入すればサプライヤー評価の運用と管理を効率化できる
- SRMシステムを導入する際は事前に運用ルールを決めておくことが大事
- SRMシステムを選ぶ時はまずはじめに導入目的を決める
- おすすめのSRMシステムはSAPジャパン株式会社の「SAP Ariba Supplier Lifecycle and Performance」
目次
SRMシステムとは
SRM(Supplier Relationship Management)は組織に商品やサービスを提供するサプライヤーを正確に評価して、パフォーマンスを向上させるために体系的なアプローチ方法です。
新型コロナウイルスが影響して購買・調達分の課題が改めて浮き彫りとなり、リモートワークを行うことで今まで業務遂行できないという事態に陥ったことがある人は多いと思います。
また、自分たちだけでがテレワークをしているのではなく、仕入れ先もリモートワークをしており、双方がスムーズに業務を進めるためには紙やメール、電話中心のやり方には限界があります。
これにより、SRMシステムの導入を検討する企業は増えています。
サプライヤーとは、企業活動における必要な材料や資材、サービスなどを供給する売り手のことで、もともとは仕入れ先や納品業者という意味で使われていました。
企業が単純に製品を購入するのではなく、企業と企業の間に有益な関係性が構築され、維持される状態です。
そのため、製品やサービスを購入する企業と、その製品やサービスを提供する企業との間で行われるプロセスを合理化・改善することと言えます。
SRMは各サプライヤーが提供する価値を引き出し、パフォーマンスと自社の事業継続性を向上させるために役立つのです。
また、それだけでなく商品や購入担当者は各サプライヤーの重要性に基づき、サプライヤーとのより良い関係を築くこともできるのです。
SRMの重要性
そもそも、材料やサービスの調達は会社のコストを管理しながら収益を生み出していくため、既存のビジネスを継続する上で重要な戦略的役割を果たします。
ですが、サプライヤーとの関係が悪いと多くの時間とお金が失いかねません。
そのため、良好なサプライヤーとの関係を築き、管理することは組織全体にとって大きな価値を生み出すのです。
ただし、サプライヤーとの関係が一方通行では意味がありません。
あくまでも相互に有益な合意がある状態を築くべきです。
企業同士、またはパートナー同士が関係に満足しているのであれば、双方にメリットがあるため良質な関係を維持しやすいです。
昨今ではただサプライヤーを評価するだけに留まらず、サプライヤーとのマネジメントや関係強化に役立つ機能も多数備わっているシステムが多数存在しています。
これにより、テレワークなどでサプライヤーとのコミュニケーションが薄くなっている現状を変え、的確な評価を行えることで注目度が高まっているのです。
SRMシステムを導入するメリット
次に、SRMシステムを導入するメリットを紹介します。
サプライヤー評価の運用と管理を効率化
これまで行っていたExcel管理だと評価シートを作成して、サプライヤーへの配布や回収、分析、ファイル管理など多数の業務が発生するため、手間と時間がかかっていました。
ですが、サプライヤー管理システムを導入することで評価やプロセス管理などがシステム上で一元管理できるため、これまでかかっていた運営や管理にかかる手間や時間を削減できます。
また、システム上で全てのデータを管理することで提出漏れや遅れがあってもすぐに気づき、対応できるというメリットもあります。
評価の質向上
これまでサプライヤー評価を行ううえで、評価者によって評価のバランスが生じてしまうという課題が挙げられています。
サプライヤー管理システムを導入すれば評価項目を詳細に設定することができるため、評価者によるバラつきが生じにくいです。
また、登録や評価プロセスも可視化できるため、これまで以上により公平な評価が行えるのです。
サプライヤー選定の最適化
サプライヤー管理システムを導入し、ビジネスへの影響度に応じてサプライヤーを階層別に管理することで、自社にとって最適な取引先の選定が容易に行えます。
最適な取引先に購買を集約させれば、これまで以上に良い条件で購買が可能になることになります。
また、導入するシステムによっては分析やレポート機能を充実させているところも多く、マネジメントやサプライヤーの育成など、適切なサプライヤー管理に役立てることもできるのです。
SRMシステムを導入する際の注意点
続いて、SRMシステムを導入する際の注意点を紹介します。
これまでの評価制度を見直す必要も
SRMシステムを導入すると、これまでの評価シートや評価項目、承認フローなどの仕組みそのものを見直す必要が出てくる可能性があります。
また、実際にシステムを運用しても強化の妥当性を検証して、評価制度を何度も見直す必要が出る可能性もあります。
このような状況が生じることも視野に入れた状態で導入しないと、混乱を招く場合もあるため注意してください。
SRMシステムを導入する時はスケジュールや計画を立てて、円滑に導入・運用することが求められます。
運用ルールを事前に決めておかないと失敗するリスクが高い
SRMシステムを導入しても、運用ルールを事前に決めておかないと現場が混乱して失敗するリスクが高まります。
そのため、運用の管理者やユーザーの権限、業務フローなどは最低限ルールを決めておく必要があります。
また、SRMシステム導入後に現場が混乱しないためにも、サプライヤー管理担当者が中心となり、現場の声も聴きながら進めていくのが、円滑な運用を進めるコツです。
システム化に伴う混乱が生じることも
SRMシステムを導入すると、システム化に伴い混乱が生じてしまう可能性もあります。
これを防ぐためには、システムを導入する目的をサプライヤー側に周知し、納得感と安心感を持ってもらうことが大事です。
また、SRMシステムの操作方法のマニュアル化や、問い合わせが来た時の対応などについても事前に決めておく必要があるでしょう。
SRMシステムの選び方・ポイント
ここでは、SRMシステムを選ぶ時のポイントを解説していきます。
導入目的に合った機能が搭載されているか
まずはじめに、SRMシステムを導入する際は導入目的を明確にする必要があります。
SRMシステムには大きく分けてサプライヤー評価に特化したタイプとサプライヤー管理やセグメンテーション、リスク管理なども視野に入れたマネジメントにも対応できる汎用型の2つのタイプがあります。
自社がSRMシステムを導入する目的や解決したい課題によっても適したタイプが異なるため、まずはシステムを導入して何をしたいのかを明確にしてください。
導入目的や解決したい課題が明確になれば、自然と必要な機能も明確になります。
自社の規模に合っているか
SRMシステムは小規模の中小企業にも対応しているものをはじめ、世界的な大規模事業を展開している大企業向けのものまで、幅広くあります。
各システムによっても使い勝手や搭載されている機能などが異なるため、必ず自社の規模に合うSRMシステムを導入するようにしてください。
自社が抱える評価制度に対応できるか
SRMシステムの評価・管理方法は各システムによって異なります。
そのため、自社が抱える評価制度に対応できるかどうかは事前に確認しておく必要があります。
ほとんどのシステムでは情報の一元管理に対応していますが、中には最低限の機能しか搭載していないものもあります。
また、これまで通りの自社の評価・管理方法を変えずにそのまま使用したいのであれば、形式が自社にマッチしてるかどうかも確認が必要です。
評価項目の設定・追加や基準などのカスタマイズ性にも注目しておくことをおすすめします。
費用や予算内に収まるか
導入するシステムによっても初期費用や運用費用には大きく差があります。
クラウド型であれば導入にかかるコストが低く、ユーザー数に応じた定額の料金体系になっているため料金も必要最低限しかかかりません。
一方で、パッケージ型のシステムの場合は導入時に多くのコストが発生します。
また、自社でセキュリティ体制を行う必要があったりなど、その分のコストも考えておく必要があります。
オンプレミス型のシステムはパッケージ型同様に導入にかかるコストは高く、保守管理やメンテナンスなどのコストも発生します。
そのため、運用コストだけでみるならクラウド型のSRMシステムがおすすめです。
他のシステムと連携できるか
SRMシステムの中には、購買管理システムやERPシステムと連携できるタイプもあります。
他のツールと連携できれば、より業務の高度化や効率化を図ることができます。
適切なサポートが受けられるか
SRMシステムを選ぶ時は適切なサポートが受けられるかどうかも重要なポイントです。
サポート体制や範囲は各社で異なるため、自社に必要なサポートや継続的なサポートが受けられるかどうかなどを基準に選びましょう。
特に、導入時は設定や運用の不具合が起こる可能性もあるため、サポートは必須ともいるほど大事です。
SRMシステムおすすめ7選
ここでは、おすすめのSRMシステムを紹介します。
SAP Ariba Supplier Lifecycle and Performance|SAPジャパン株式会社
出典:SAPジャパン株式会社
SAPジャパン株式会社の「SAP Ariba Supplier Lifecycle and Performance」は業務改革に向けたクラウドベースの調達・購買とサプライチェーンソリューションを提供するサービスです。
BtoBの電子調達や契約管理、電子購買などの購買管理業務を大幅に効率化できます。
SAP Aribaでは具体的に見積もり依頼や契約、発注、検収、請求のなどの購買業務がWeb上で完結できるシステムです。
Ariba Networkを通じた取引先との連絡も可能で、システム上の電子署名システムを併用すればシステム上で購買業務の管理も可能です。
材料やサービスの調達側の業務効率化はもちろんですが、サプライヤー側の取引業務も効率化することができます。
例えば、サプライヤーがAriba Networkを通じて受注を確認後、出荷時に通知を行うだけで請求書を簡単に発行することができるのです。
また、サプライヤーや商品カテゴリー、購買部門、購買期間などの集約したデータは100種類以上の分かりやすいテンプレートで表示することもでき、戦略の立案やサプライヤーとの交渉にも役立ちます。
BSMアプリケーション|Coupa株式会社
出典:Coupa株式会社
Coupa株式会社のBSMアプリケーションはあらゆる支出をクラウドで可視化・統制し、購買、経理財務、サプライチェーンのDXとコスト・業務最適化に貢献します。
部門横断的なサプライチェーンの戦略的意思決定の迅速化・高度化をはじめ、「いつ・どこで・何が・どれだけ買われているのか」といった支出に関わるあらゆる活動を可視化・管理することも可能です。
そのため、コスト削減や業務効率化の機会の特定やリスクの軽減が可能になります。
これまで世界中2,000社を超える導入事例があり、BSMアプリケーションを導入すればさらに継続的なビジネス改善に期待ができます。
BSMアプリケーションの導入が進むと、それに伴い節税効果や可視化制が高まり、広範囲にわたりコンプライアンスとコントロールを強化することも可能です。
また、これまでの業務を自動化すれば購買調達や財務担当者はこれまで以上に重要な仕事に多くの時間を費やすことができるでしょう。
TWX-21|株式会社日立製作所
出典:株式会社日立製作所
株式会社日立製作所のTWX-21は業務を支援するECサービスをASP・SaaS形式で提供する国内最大級の広域システムのビジネスインフラです。
S2CやSCMを支える15の業務アプリケーションサービスを提供し、企業活動における幅広い業務領域をカバーできます。
また、複数のサービスを組み合わせることもでき、さらに自社の生産性向上に期待できます。
さらに、株式会社日立製作所は豊富な経験・導入実績を生かした導入サポートや運用開始後のサポートも充実しており、ユーザーコミュニティによるお客さま事例や最新の取り組み状況の共有も行っているため導入後でも安心です。
導入実績は全世界で84,000社以上を超え、30の国と地域で提供しているためグローバルに対応する大規模な企業にもおすすめです。
Microsoft Dynamics 365|マイクロソフト社
出典:マイクロソフト社
マイクロソフト社のMicrosoft Dynamics 365は生産性向上やコスト削減を推進して、人材、データ、プロセスを組織全体で一元化してハイパーコネクテッド ビジネスを構築できるシステムです。
より短時間でより多くの価値を提供し、即座に効果を得ることができるためチームへの効果も加速してくれます。
顧客のニーズに対する可視性の向上、顧客をより早くパイプラインに導き、より多くの商談を成立させることもできるため結果的に営業担当者とマーケティングを連携して収益を増加させられます。
また、Office製品との連携も可能なため、Word, Excel, PowerPointなどのドキュメント管理、Outlookの予定表との同期なども可能です。
Oracle Fusion Cloud Procurement|日本オラクル株式会社
出典:日本オラクル株式会社
日本オラクル株式会社のOracle Fusion Cloud Procurementは調達から支払い、戦略的調達、サプライヤー管理のプロセスを自動化できるSRMシステムです。
従業員の購買体験を簡素化し、ユーザー採用を最大化することで直観的な検索により交渉済みの価格で必要な材料やサービスを検索できます。
これにより、購入のコンプライアンスを確保できるというメリットがあるのです。
また、交渉済みの価格を提供する昇進されたサプライヤーに購入を指示すれば、コスト削減も実現できます。
承認された調達依頼書は自動発注により購買を簡素化し、完全な変更履歴で簡単に管理でできる点も魅力です。
さらに、請求書等の管理・処理も自動化されるため作業負荷を最小限に抑えることができ、エラーが削減されます。
Meister SRM|東芝デジタルソリューションズ株式会社
東芝デジタルソリューションズ株式会社のMeister SRMは製造業の開発購買や試作・量産段階など様々な局面での資材調達において、電子見積り、間接材(MRO)調達、サプライヤ管理などが簡素化できるシステムです。
「調達コストの削減をしたい」「調達のリードタイムを短縮したい」「グローバル市場で最安値の材料を把握したい」などの悩みを解消できるのが強みです。
例えば、「調達コストの削減をしたい」という悩みなら効率化による工数削減だけでなく、従来見えていなかったCD要素を「見える化」し、調達戦略を図ります。
「調達のリードタイムを短縮したい」という悩みであれば取引のある企業同士が繋がり、取引企業の情報やサプライチェーンの接点プロセスを横断的に可視化し、自社の情報を登録・更新して共有することで情報の均質化と、多重業務の軽減を実現できます。
Tradeshift Engage|トレードシフトジャパン株式会社
トレードシフトジャパン株式会社のTradeshift Engageは基本機能が無料であり、多言語にも対応しています。
インターフェースも使いやすく、導入のハードルが低いのが特徴です。
企業間取引で必須となる見積りや発注、請求などの取引プロセスを全てオンライン上で完結できます。
どのプロセスから始めても1つの業務を電子化した後はそれをベースに他のプロセスにも展開できるため、調達から支払いまでにかかる工数を削減できます。
また、画面は普段しているSNSのような感覚のインターフェースを採用しているため、初めてシステムを触ると言う人でも直感的な操作で使い始められる点も魅力です。
さらに、Tradeshiftのプラットフォームは非常に柔軟性が高く、スマホアプリでインストールするような感覚で簡単に機能を拡張することもできます。
SRMへの取り組み方
SRMは主に以下の3ステップで進めていきます。
STEP:①サプライヤーの洗い出し
まずは、サプライヤー強みや商品やサービスの品目、活動地域、考えられるリスクなどを整理し、一元管理します。
これらの情報を一元管理するためには、サプライヤー管理プラットフォームなどのツールを利用するのが良いです。
その際は、以下のような機能は搭載されているツールを選びましょう。
- 連絡・コミュニケーション管理
- 請求書と請求書
- 注文履歴
- スケジューリング
- パフォーマンス分析
- サプライヤーのリスク管理を含む調達
- ポートフォリオ戦略管理などの製品ライフサイクル管理
- ソーシング
- サプライヤーの要求の検証を含むサプライヤーのデータ管理
これらの機能を使って情報を集め、サプライヤーの位置づけを行います。
取引先の候補を洗い出すことで、より公平な機会を用意して競争環境を創出できるのです。
そのため、サプライヤーの選択プロセスは慎重に行う必要があります。
STEP:②サプライヤー戦略の実行
取引先の候補を決めたサプライヤーをあらかじめ立てておいた戦略計画に合わせて最適な取引先を決めます。
実際にサプライヤーの洗い出しを慎重に進めていれば、取引を行うべきサプライヤーが分かるはずです。
この時のサプライヤーは、自社との共通の目的や目標を持つサプライヤーということです。
サプライヤーが顧客の要件を確実に理解することは自社だけでなくサプライヤー側にも大きなメリットがあります。
そのため、サプライヤーと密に連絡を取り合い、常に情報共有をしてサプライチェーンとの関係を掴めていきましょう。
STEP:③振り返り
SRMを行ったら、最後に各関係者同士でもフィードバックを行います。
例えば、「どの程度コスト削減ができたか」「どれだけ納期が短くなったか」「これまでに抱えていたトラブルがどのくらい減ったか」などを可視化して、定期的に振り返るようにしましょう。
これにより、今後の活動を正しく評価し、次回に活かすことができるのです。
SRM おすすめまとめ
今回はおすすめのSRMシステムをはじめ、SRMシステムを導入するメリット、注意点、SRMシステムの比較ポイントなどについて詳しく紹介してきました。
SRMは単純な調達・購買の安定化だけでなくコスト削減や納期短縮などの効果があります。
最適なサプライヤー戦略を実現するためには、公平で透明性の高い評価を実現することが求められます。
本記事を参考に、企業におけるサプライヤーとの関係を見直してみてはいかがでしょうか。